ユニクロが“1人勝ち”を続ける理由――そのヒントは「着物」にあった:MBが語るアパレルビジネスの近未来【前編】(4/4 ページ)
近年は大量閉店や撤退が相次ぎ、苦境に立たされているアパレル業界の中で、過去最高益をたたき出し続け、“1人勝ち”を続けるユニクローー。「日本一ユニクロを買っているユニクロ研究家」を名乗る人気ファッションプロデューサーMBが、若者を中心に「おしゃれなもの」として定着したユニクロファッションの神髄を語る。
タンスの中にある洋服の数が数倍に膨れ上がっている
――MBさんが実際に若者の需要とマッチできた、というのはどういうところに原因があったと考えていますか。
ちょっとデータ的なことをいうと、10年前と比べて私たちの洋服ダンスの中にある洋服の数って数倍に膨れ上がっているらしいんですよ。かといって、可処分所得が特に増えているわけではない。
じゃあ何が理由かっていうと、洋服の値段が下がっているんですよね。ファストファッションがどんどん増えてきて、いろんな洋服に手を出せるようになってきたのが原因です。昔だったらレザーのジャケットを買うのにはある程度の勇気が必要でしたけど、いまだとユニクロで4000円とかで買えちゃうわけですよ。カシミアのニットを買うのって、かなり勇気が必要でしたけど、いまは本当に気軽に買えてしまいます。
――だからこそ、「着こなし」が分からない人が増えてきているわけですね。
そういうことです。いろんな洋服があるんだけど、だからこそみんな着こなし方が分からない。いろんなものにアプローチできて、いろんなものにリーチできるけど、その使い方が分からないというのがあると思います。
これは洋服に限らず、いまは商材だったりとか商品だったりとかっていうのが膨れ上がり過ぎていて、実際の使い方っていうところに今度は需要が生まれているのかもしれないですね。
(11月23日正午公開予定の中編に続く)
著者プロフィール
河嶌太郎(かわしま たろう)
1984年生まれ。千葉県市川市出身。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。アニメコンテンツなどを用いた地域振興事例の研究に携わる。近年は「週刊朝日」「AERA dot.」「DANRO」「Yahoo!ニュース個人」など雑誌・ウェブで執筆。ふるさと納税、アニメ、ゲーム、IT、鉄道など幅広いテーマを扱う。共著に『コンテンツツーリズム研究〔増補改訂版〕 アニメ・マンガ・ゲームと観光・文化・社会』(福村出版)など。
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