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『ドラゴンボール』を手掛けた『ジャンプ』伝説の編集長が明かす「ゲームプロデュースの神髄」マシリトが行く!【後編】(2/4 ページ)

マンガをアニメやゲームなどへメディアミックスする際には何が大切なのか。鳥山明氏の国民的マンガ『ドラゴンボール』の担当編集者であり、『週刊少年ジャンプ』伝説の編集長「Dr.マシリト」こと現白泉社会長の鳥嶋和彦、バンダイナムコエンターテインメント取締役の内山大輔、バンダイナムコホールディングスIP戦略本部アドバイザーの鵜之澤伸、ゲーム情報サイト「電ファミニコゲーマー」の平信一編集長に聞いた。

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ゲームも「原作元と一緒に作品を作る」という考え方が必要

――鵜之澤さんには少し引いた目線で、今のアニメとゲームの関わり合いみたいなものを伺いたいのですが。

鵜之澤氏: 技術の進歩によってドット絵からポリゴンになって、そしてPS(プレイステーション)4の時代には、まるでアニメのようになっているわけじゃないですか。だからゲームも基本的にはアニメと同じ、二次著作物なんですよ。原作が一次、アニメが二次で、ゲームはその三次著作物だというんじゃなくて、アニメと同じ二次著作物なんですね。ゲームもアニメと同じように作品なんだということにね、気付くのが遅かった。

 オモチャ屋の感覚だと、原作元の監修を通ればそれでOKみたいなものが、消費者の前に出てきちゃう。そうじゃなくて、ゲームにも作品性があるという目線で、原作元と話をしなければいけない。アニメと同じようにゲームも、「原作元と一緒になって作品を作るんだ」という考え方が必要だったんですよ。作り手側のプライドも含めて。

 鳥嶋さんは僕がバンダイビジュアルにいた時代、つまりアニメのプロデューサーをやっていた時代を知っているので、だから僕の話を聞いてくれたんですよ。旧来のバンダイの担当者のように、版権元さんに監修を受けにだけ行っていたのとは、ちょっと違うだろうと。それは信頼だっただろうし、だからその当時のバンダイのゲームも少しずつね、少なくとも見た目とかはちゃんとできるようになっていったんです。

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鵜之澤さんはTVアニメ『機動警察パトレイバー』のプロデュースを手掛けた(『機動警察パトレイバー ON TELEVISION』バンダイのWebサイトより)

原作者に見せると収拾がつかなくなる

鳥嶋氏: 講演で『ONE PIECE』の2頭身のキャラクターをOKした話が出てきましたが(前編記事「『ジャンプ』伝説の編集長が、『ドラゴンボール』のゲーム化で断ち切った「クソゲーを生む悪循環」」を参照)、あれはその前にね、バンダイさんが『機動戦士ガンダム』で、(2頭身で表現された)「SD(スーパー・ディフォルメ)ガンダム」をやってたでしょ。そのときに「なぜSDガンダムなのか」という話を聞いていて、その様子を見ていたんだよね。2頭身になっても世界観は全然変わらずに、親しみやすい形でもう一回キャラクターを提示できるんだって。それを見ていたので、だからスッと入ることができたんです。

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『ONE PIECE グランドバトル!』(Amazonより)

――原作者ではなくて編集者がゲームなどの商品を監修する意味は、壇上でおっしゃっていたように、編集者が一元化して対応をすることによって混乱を避けるという理由ですか?

鳥嶋氏: それとね、原作者に見せると彼らは直しをしたくなるんです、自分で。そうするともっと厄介なことになる。際限なく手を入れるから。

――そこで編集者が代わりに監修をするわけですけど、そのポイントとなるのは?

鳥嶋氏: さっきも言いましたけど、子どもの視点で見なきゃいけない。だから「パッと見」が大事。

――子どもの視線というのはみなさん、どうやって身に付けられたのですか? 

鳥嶋氏: 日々、仕事の中で培うんですよ。(子どもの)見学者が来たり、子どもについてのデータが来たり、そういうので補正していく。

鵜之澤氏: イベントで子どもたちに見てもらったりしてね。それは現役でやっている人は必ずしているので、肌で分かりますよね。

鳥嶋氏: 分かるよね。

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