新しいサービスが展開される高輪ゲートウェイは、どんな駅になるのか:未来の駅(3/4 ページ)
2020年春、高輪ゲートウェイ駅が開業する。駅名を発表したとき、ネット上では批判の声が多かったが、どんな駅が誕生するのか。最先端の技術が導入されていて……。
エコに配慮した駅
高輪ゲートウェイは、テクノロジーだけではなく、エコロジーの面においても、先進的な駅となっている。デザインは隈研吾氏によるものであり、「和」を感じさせるデザインとなっている。折り紙をモチーフにした、障子を思い起こさせる大屋根、吹き抜けやガラス面で、駅と街が一体と感じられるようになっている。
この駅は、環境保全技術を駅に導入する「エコステ」として、さまざまな取り組みを行っている。例えば、屋根は膜屋根を使用し、内部の温度上昇を抑制するだけではなく、光が通過することを活用して、日中の照明電力量を削減する。
また太陽光パネルや小型風力発電機を設置し、再生可能エネルギーの導入を行っている。
駅構内では東北の木材を使用し、港区が推進する「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」を取得する予定だ。
大きな施設はそれだけエネルギーを使用するので、そのエネルギーを削減する、自ら作り出すことは、これからの駅に必要なものだ。またエコロジーとデザイン性を高度に両立させた隈研吾氏の技術力には驚かされる。
話題の改札機と無人店舗など
高輪ゲートウェイには、新しいタイプの改札機も導入される。タッチしやすさを重視し、形状をななめにしたもので、QRコードの読み取り部分も設置している。JR東日本ではSuicaを決済の主軸に据えているものの、QRコードを使用したサービスも考えていることがうかがえる(参照記事)。
駅改札内には無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」を設置。商品を手に取るだけでウォークスルーの買い物ができ、人手不足への対応も可能になる。また駅内のスターバックスコーヒーでは、アプリからの自動注文を受けつける。同店舗には駅ナカシェアオフィス「STATION BOOTH」が設置される。
なるほど、確かに新しい時代の「ゲートウェイ」だ。
キャッシュレス社会が進む中、それに対応した駅を、ということでいろいろと新しい試みに挑戦していることが興味深い。特に、QRコード改札は、Suicaに載せられないような、チケットレス可能な企画に対応することも想定できる。それとも、QRコード決済でチケットレス乗車を可能にするということか。どんな使われ方をするのか、気になる。
新しいタイプの駅をつくるというJR東日本の考えが、試行サービスにあふれた駅にすることにつながった。その意味もあって、未来像を提示するために駅名公募では票数の少なかった「高輪ゲートウェイ」にしたのだろう。
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