250店舗が出店し、6月に開業した「サンエー浦添西海岸パルコシティ」の集客が伸び悩み、テナントが苦戦している。サンエーは開業時の交通渋滞のイメージが強く、来店に結びついていないことや、10月の消費増税で消費マインドの落ち込みが要因とみる。
売り上げが計画の半分にとどまる出店企業は「施設側が見込んだ来店者数とあまりに異なる。このままでは家賃交渉を求めざるを得ない」と不満を募らせる。サンエーは集客イベントやセールなどで施設の魅力づくりを強化する方針だ。
シャツや小物などのオリジナル商品を取り扱う衣料品店の担当者は「売り上げが目標にずっと届いていない。インバウンド(訪日外国人観光客)を含めて観光客を取り込めていない」と打ち明ける。別の衣料品店も「家賃が高いのでこのままでは営業継続ができなくなる」と明かす。
サンエーの担当者は「売り上げが目標に届いていないのは事実」と説明。混雑を懸念して県民の来店が少ないのに加え、日韓関係の悪化による韓国人客の大幅減などでインバウンド需要を取り込めていないのが背景にあるとみる。
担当者は「新店は通常、開業から3カ月でいったん底を打ち、再び回復の流れをたどるが、消費増税が重なったことも大きかった」と分析。年末年始の商戦で客足を大幅に増やす戦略を描く。
開業当初、平日も運行していたシャトルバスは利用者の減少で土日・祝日の運行となっている。テナントからは「本来取り込めた客を取り逃がしている」との批判も上がる。サンエーは21日から1月5日の期間は連日運行にし、取りこぼしをなくす方針だ。
パルコシティはファッションがメイン。2、3階に衣料品店が集中し、1階は飲食料品店が多く出店する。衣料品購入の目的で来店した客が1階まで足を延ばしていない可能性があり、食品販売店の経営者は「屋内駐車場から3階や2階にまで来ても、1階まで来る数はかなり少ない。同じフロアのテナントはどこも苦戦していて、どうすればいいか必死に考えている」と頭を抱える。
別の食品販売店は対策の一つに、「2階のイベントスペースで催事をし、1階にまで客足を呼び込む仕掛けが必要だ」と戦略を練る。出店店舗で「テナント会」を結成する案を示し「効果的な集客策をテナント側からサンエーに提案する必要がある。不満ばかりでなく自分たちで動くしかない」と気を引き締めた。
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