観光誘致や店舗集客ではSNSの口コミが重視される。特に、インスタグラマーやインフルエンサーによる拡散は影響力が高く、マーケティング施策として「インスタ映え」による効果は無視できない時代になっている。
そんな社会背景のなか、日本最大級のSNS映え観光サイト「スナップレイス」を運営するSNAPLACE(東京都品川区)は、2019年のSNS分析データをもとに、インスタ映え度の高かったスポットを抽出したランキングを発表した。
分析データはSNS映えの基準に従ってSNSから抽出し、スナップレイスに掲載される全国約7000スポットが対象。それらのSNS投稿データを分析し、19年のインスタ映えスポットTOP10を集計した。
その結果、1位は18年同様、八坂庚申堂(京都市)が輝いた。色鮮やかなくくり猿が写真で映えるスポットとして、京都通の人だけではなく、京都の定番なインスタ映えする観光スポットとして認知されるようになった。直近ではスマートフォンで自撮りした画面を別のスマートフォンで撮影するといった写真も数多く投稿されており、差別化を図る投稿も増えている。
2位は、18年の6位から順位を4つ上げ、金沢21世紀美術館(金沢市)がランクイン。まるでプールの中に入ったような気分に浸れるレアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」など、さまざまな体験型アートによるインスタ映え写真が撮影できる。また、金沢では着物レンタルをして観光をするスタイルが定着しつつあり、全体的に金沢エリアのインスタ投稿数は増加傾向にある。
3位は、糸島の新インスタ映えスポットである#ジハングン(福岡市)が獲得。名前の由来である「自動販売機の群衆」同様、自動販売機の中に入れるフォトスポットや巨大ブランコ、流木のアーチなど、インスタグラムユーザーに好かれやすいフォトスポットが詰め込まれており、盛んにインスタが投稿された。ロケーションが海の近くということもあり、リゾートにいるような「非日常感」が強い点も人気の要因だと考えられる。
4位以下には、キモノフォレスト(京都市)、箱根彫刻の森美術館(神奈川県足柄下郡)、アカオハーブ&ローズガーデン(静岡県熱海市)、BE KOBE(神戸市)、川越氷川神社(埼玉県川越市)、びわ湖テラス(滋賀県大津市)、清津峡渓谷トンネル(新潟県十日町)が続いた。
19年のインスタ映えスポットの傾向として、写真の背景が色鮮やかになるウォールアートやフォトスポットがある施設、写真だけで訪れた場所の地域やエリアを説明できる「テキストオブジェ」などが特徴となった。その中でも、自然と融和したスポットがより注目を集めた。自然に人が溶け込むことで1枚の絵として成立するスポットは、撮影した写真が年齢・性別問わずSNSに投稿されやすい特徴があった。
また、20年に注目を集めるインスタ映えスポットは「エモーショナルな場所」になると予想。スナップレイスはその特徴として「笑い」「感動」「興奮」「懐かしさ」「恐怖」「驚き」の6つを挙げている。
20年は次世代通信規格の5Gが国内でもスタートし、写真やビデオで体験を共有する機会が加速すると予測される。企業はインスタ映えする特徴を分析して、集客に生かすことがより一層求められるようになるだろう。
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