企業不祥事トレンドは「人口減少型」、2020年はどうなる?:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
2019年も、さまざまな企業不祥事があった。レオパレス21やセブン-イレブン、かんぽ生命など、そうそうたる大企業が次々にやらかしたわけだが、20年はどうなるのか。筆者の窪田氏が分析したところ……。
2020年は「組織ぐるみで不正」
では、そんな人口減少型不祥事が増えた2019年を踏まえて、20年のトレンドはどうなっていくのか。少子高齢化が加速していくので、これまでの「ビジネスモデル破たんを取り繕うために組織ぐるみで不正へ走る」というパターンがさらに増えていくことは間違いない。そこに加えて、個人的には「汚職・収賄型不祥事」も増えていくのではないかと見ている。
経営破たんしたジャパンライフが、顧客の不安をごまかすために、「桜を見る会」の招待状を「営業ツール」にしていたり、消費者庁の天下りを迎え入れていたというのが典型的だが、ビジネスモデルが破たんすればするほど、組織というものは「国家権力」にすがっていくものだからだ。
人口減少がハイペースで進んで、昭和のビジネスモデルで成長してきた企業が続々と不正行為などの暗黒面に堕ちていく中で、さらに道を踏み外して、政治への癒着に走る者が増えていくのは容易に想像できよう。
事実、この転落パータンは日本郵政でも確認できる。詐欺的販売手法がまん延していることが分かったこの組織は、「ドン」の異名をとる上級副社長が総務省時代の威光をつかってNHKの報道をねじ伏せ、後輩である総務事務次官から行政処分案を聞き出している。
さらに筆者が、「汚職・収賄型不祥事」が増えていくのではないかと予想するのには、もうひとつ理由がある。近年の企業不祥事の流れである。
人口減少による労働現場の人手不足、市場の縮小が引き起こした不祥事は昨日今日始まったものではなく、かなり以前からじわじわと拡大しているのだ。この4年ほどを振り返ってみよう。
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