日本を混乱させた中国企業「500ドットコム」が、うさんくさく感じる3つの理由:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
共同通信が行った調査によると、IRの整備を「見直すべきだ」と回答した人がなんと70.6%にものぼったという。「カジノ汚職」を受けて、多くの国民はIRをうさんくさく感じているようだが、こうした動きの背景に何があるのか。筆者の窪田氏は、中国企業の存在を指摘していて……。
怪しく感じる3つの理由
テレビのニュースでも局によって「ごひゃくどっとこむ」「ファイブハンドレットドットコム」と読み方が異なっていることからも分かるように、この中国企業については「IR参入を目指していた」という話以外はそれほど深い情報は語られていない。そこで2017年8月、沖縄で催されたシンポジウムで、今回逮捕された秋元司衆議院議員と同様に、基調講演をした潘正明(パン・セイメイ)最高経営責任者(CEO)の言葉を引用しよう。
「500ドットコムは、中国本土から初めて、また、唯一、株式を上場したゲーミング会社となる。当社は、世界中のユーザーに業界トップクラスのオンラインゲーミングや、カジノゲームを提供すると同時に、中国国内の宝くじ業者に関連機器を提供しております。登録ユーザー数は6,000万人以上、総売上高は3,270億円を超えました。事業所は、香港、北京、深センに加え、欧州、北米各地に広がり、300人を超えるシニアエンジニアと50人を超える業界専門家で構成されているチームが業務にあたっております」(TRAICY 2017年8月7日)
うさんくさいどころかスゴい企業じゃないかと思う方もいるかもしれないが、彼らがやっていることを冷静に俯瞰(ふかん)するとかなり怪しいにおいがプンプン漂ってくる。そのポイントは、ざっくりと以下の3つにまとめられる。
(1)IR実績ゼロなのに日本市場に積極的
(2)筆頭株主が習近平主席に近い清華紫光集団
(3)カジノ管理委員会、自治体関係者ではなく国会議員を狙う
まず、(1)の「IR実績ゼロなのに日本市場に積極的」から順に説明していこう。
現在、国内に3カ所できるという「日本のIR」は世界最高水準の厳しい規制をうたっている。それはつまり、日本市場に参入するには、ラスベガスやマカオなどの既存のカジノ規制下で問題なく運営できている実績が必要不可欠ということだ。サンズ、MGM、シーザーなど世界中でカジノ運営をしている米国の企業名ばかり挙がっているのはこれが理由だ。
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