東京商工リサーチが、国内の証券取引所に株式上場し百貨店向けアパレルを展開する12社を対象に調査したところ、直近の本決算で12社中8社の売上が前期を割り込み、利益も4社が減益、5社が最終赤字となったことが分かった。
ECの台頭に加え、オフィスカジュアルの定着も追い打ちをかけており、中〜高価格帯の商品構成が中心の百貨店ブランドは不調が続いている。さらに、消費者の節約志向が進み、低価格帯との競合も激化しているほか、従来顧客の高齢化も重なったことが要因として挙げられる。
主要上場12社の売上高合計(連結ベース)は、2014年度は1兆1376億300万円だったが、17年度は9731億9200万円と5年間で14.4%落ち込んだ。18年度は、売上上位のワールド(前期比1.6%増、40億円増)やTSIホールディングス(以下、TSIHD。同6.1%増、95億円増)が増収に転じ、9756億7100万円(前年度比0.2%増)と減少に歯止めがかかった。しかし、ワールドとTSIHDの2社は、それぞれ百貨店以外でのセグメント収益による増収が寄与した面が大きいという。
主要12社のうち、「23区」「五大陸」「Jプレス」などのブランドを展開するオンワードHDは4期連続、「ダーバン」「アクアスキュータム」などを展開するレナウンは6期、「ポール・スチュアート」「エポカ」などの三陽商会は4期、「DAKS」などの三共生興は5期、「ピエール・カルダン」のライセンスなどを展開するラピーヌは5期連続の減収と苦戦が鮮明になっている。
三陽商会は、15年春夏シーズンで英国老舗ブランド「バーバリー」とのライセンス契約が終了し、16年12月期の売上高は前期比30.6%減の676億1100万円まで落ち込んだ。「バーバリー」終了後は、同じく英国高級ブランド「マッキントッシュ」の各ラインを展開しているが、回復には届かず減収が続いている。
一方、19年度本決算の予想は、18年度に増収のワールド、TSIHD、ルックHDに加え、オンワードHD、三陽商会(14カ月決算)、キング、ラピーヌの7社が増収を見込む。ただし、同調査レポートでは、地方や郊外百貨店の閉店、19年10月の消費増税などの懸念材料があり、先行きは流動的と指摘している。
地方百貨店は閉店の動きが加速している。19年は棒二森屋、大沼米沢店、大和高岡店など地方百貨店、三越伊勢丹の伊勢丹相模原、伊勢丹府中店も閉店となった。
20年には、3月に新潟三越が閉店を予定している。8月にはそごう・西武が西武岡崎店、大津店の2店の閉店を発表したほか、そごう西神店、徳島店の閉鎖も予定されている。徳島県は、国内で唯一の「百貨店ゼロ」県になる見込み。
日本百貨店協会によると、19年10月の消費税引き上げ後の19年10月、11月の百貨店売上高は、2カ月連続で前年同月を5%以上割り込んだ。商品別では、婦人服・用品が10月は前年同月比20.5%減、11月は同8.1%減だった。紳士服・用品は、10月が同22.0%減、11月は同9.2%減といずれも大幅に減少した。
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