コラム
7年ぶりに新作の半沢直樹 1月放送の「エピソードゼロ」からメガバンクの生存戦略を読み解く:マイナス金利、脱日本的金融……(1/4 ページ)
7年ぶりに続編が放映されるドラマ「半沢直樹」。当時から今までで、銀行界はどう変わった? メガバンクの生存戦略と作品を合わせて読み解く。
2013年に銀行を舞台として国民的ヒットドラマとなった「半沢直樹」ですが、7年の沈黙を破って4月からその第2弾が放映されるそうです。年明け早々にはその導入編として、「エピソードゼロ」が放映されました。現実社会では7年前とは様変わりの銀行界ですが、この第2弾が果たして“2匹目のドジョウ”となりますかどうか。
作者の池井戸潤氏は、私と同じくバブル期を挟んだ激動の時期を首都圏の銀行の現場で過ごした元銀行員であり、彼の作品のほとんど全てにおいてその経験がベースとなっています。彼の作品群のコンセプトを元銀行員の立場から簡単に分析すると、大きく分けて「表」版と「裏」版に分類できます。
池井戸作品の「表」と「裏」
「表」は文字通り銀行を舞台としたドラマです。男性行員を主人公とした「半沢直樹シリーズ」と、女子行員を主人公に据えた「花咲舞シリーズ」があります。どちらも元銀行員である池井戸氏ならではの知られざる銀行内部のひずみや非常識さなどにスポットを当てて、主人公がその問題点を鋭くえぐっていくという「勧善懲悪」的なストーリーが展開されます。
対して「裏」は、銀行と取引のある「非大企業サイド」を舞台として、ビジネスの現場における問題の数々や旧態然とした銀行の理解のなさなどを描いた作品です。特に池井戸氏が取り上げる銀行の中小企業に対する理解のなさに関しては、今金融庁が銀行に求めている「脱日本的金融」ともいえる方針で語られる旧時代の「日本的金融」に符合しています。
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