7年ぶりに新作の半沢直樹 1月放送の「エピソードゼロ」からメガバンクの生存戦略を読み解く:マイナス金利、脱日本的金融……(3/4 ページ)
7年ぶりに続編が放映されるドラマ「半沢直樹」。当時から今までで、銀行界はどう変わった? メガバンクの生存戦略と作品を合わせて読み解く。
国内は「富裕層」に照準
半沢が勤務する「東京中央銀行」はメガバンクという設定ですが、メガバンクも国内の状況は地銀と大差なく、国内融資業務に関しては今後収益面で大きな期待をしていない、というのが本音でしょう。しかし、地銀との大きな違いは、メガバンクとしての業務の幅広さと、グループ企業の総合力です。機を見るに敏なメガバンクはマイナス金利政策が長期化するとみるや、低収益化する国内融資に代えて海外業務に軸足を移しています。
では、メガバンクの国内戦略は今後どうなっていくのでしょうか。国内では法人融資はもうからないという理解の下、人件費のかからない自動審査等による小口融資以外は前向きな取り組みが減少していくでしょう。一方の個人取引に関しては、人手を必要として手間のかかるマスの小口取引が基本的に縮小方向にあり、店舗は大幅に整理されネットバンキング誘導やATM取引のコンビニバンキングへの切り替えという方向感が見えています。
そんな中にあって今後個人領域において唯一積極姿勢で取り組むと思われるのが、富裕層向け取引です。金融資産の運用アドバイザリーや、所有不動産の運用・管理・売却等々を、グループ内に信託銀行、証券会社、保険会社等を持つ強みを発揮して、強力に取り込んでいこうという方針を各行は打ち出しています。
グループ内での連携も強化
もちろんグループ企業といえども、情報の共有はできないいわゆる「ファイアウォール規制」が存在することに変わりはありませんが、銀行本体からの取引先紹介は積極性を増しています。
現に、「半沢直樹」のモデルと思われる、作者の出身銀行グループである三菱UFJ証券ホールディングス荒木三郎社長は、あるインタビュー記事で、銀行からの送客が年間約2万件あることこそがグループ証券会社としての強みであると話しています。
また、三菱UFJ信託銀行では、来たるべき富裕層向けサービスの切り札となる「情報銀行」業務の実験を担っており、銀行、証券、信託の垣根を越えて、ワンチームでグループ収益を生み出していこうという姿勢がうかがわれます。
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