王者Netflixを倒すのは誰か?――動画配信各社の“戦国時代”、勝敗を徹底分析:ジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る(2/5 ページ)
戦国時代を迎えている動画配信サービス。首位のNetflixは果たして勝ち残れるか? 映像ビジネス報道の第一人者が各サービスを徹底分析。
作品だけでないディズニーの「真の強さ」とは
そこで主要サービスの現状を見てみたい。似たように見えるサービスも、実際はそれぞれ内容も、個性もビジネス戦略にも大きな違いがある。この相違が、将来のビジネスの伸長にも大きな影響を与えるのだ。
ウォルト・ディズニーが、Netflixの強力なライバルであることは衆目の一致するところだ。ディズニーの強さの秘密は豊富なコンテンツのライブラリーにある。
ディズニー作品に加えて、過去15年で次々に買収してきた、ピクサー・アニメーション・スタジオ、アメコミヒーロー物のマーベル、スター・ウォーズのルーカス・フィルム、そして19年にエンタメ業界に衝撃を与えた20世紀フォックスと、目もくらむような企業と作品を抱える。北米の「Disney+」は初日で約1000万件、3カ月で2800万件もの契約を獲得したのも納得がいく。
しかしディズニーが強さを発揮するのは、実は作品だけでない。配信サービス自体も、複数のラインアップを用意している。Disney+に加えて、19年には別の動画配信サービス「Hulu」も傘下に収め、スポーツライブ配信の「ESPN+」も運営する。
ファミリー向けブランドのイメージが強いDisney+に対して、Huluはより広いジャンルを対象にしており、ラインアップも自由だ。日本アニメやドラマも、Disney+よりはむしろHuluがしっくり来るだろう。Netflixはスポーツ中継といったライブ番組を手掛けない方針だから、ESPN+の存在はNetflixに対して優位性を発揮する。
3つのブランドを使い分けることで、ディズニーはより幅広い層にリーチできる。また異なったそれぞれのブランドで課金することで、総収入を増やすことも可能になる。この点で1チャンネルしか持たないNetflixに対して優位だ。
そのディズニーの対抗馬となりそうなのが、ワーナー・メディアの「HBO max」である。
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