新型コロナ“緊急事態”下でも従業員を守り抜くために 知っておくべき各種支援制度:どうする「新型コロナ緊急事態」(1/5 ページ)
新型コロナで大きな影響を受ける企業活動。全国に「緊急事態宣言」が発出された今、従業員を守るために知っておくべき各種支援制度とは? 新田龍氏が解説する。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、当初東京都、大阪府など7都府県に出されていた「緊急事態宣言」。当該地域以外にも感染が拡大していることから、政府は対象地域を全国に拡大すると正式に決定した。宣言の効力は今のところ5月6日までとなっている。
この宣言をきっかけに、休業に入った会社にお勤めの方も多いことだろう。しかし、その場合の給料はどうなるのか、またきちんと補償されるのかについては、さまざまな情報が錯綜しているうえ、政府から明確な指針が示されておらず、不安に感じている方もおられるはずだ。今回は、このような緊急事態において、働く人が自分の身を守るために使える制度としてどのようなものがあるのか紹介する。
新型コロナウイルスに関連した緊急制度のみならず、従前から存続している制度も含め、「会社が対応するもの」と「従業員が個人で申し込むもの」を2回に分けて挙げていくので、参考にしてほしい。なお、情報は4月20日時点のものを記載している。随時内容は更新されているので、詳しくは当該官公庁のWebサイトを確認されることをお勧めする。
「休業手当」はどうなるのか?
労働基準法では、会社側の都合や判断で従業員を休ませた場合、その平均賃金の6割以上の「休業手当」を払わなければならない、という決まりがある。ちなみに「平均賃金」とは、直近3カ月の賃金総額を3カ月の総日数(労働日数ではなく)で割ったものなので、実際に手に入る休業手当の肌感覚としては「普段もらっている給料の半額くらい」のイメージになるだろう。
また、あくまで「会社都合の休業」が前提なので、従業員が自主的に休む場合は休業手当の対象にはならない。会社判断で休業にしていないが、従業員都合で休業したい、という場合は、有給休暇を取得することになる。
従業員が申請手続する必要はないが、もし「休業を命じられたが、休業手当が支払われない」「会社が休業判断をしてくれないので有休取得しようとしたが、拒否された」といったトラブルがある場合は、各地の労働基準監督署か、各都道府県の「新型コロナウイルス感染症に関する特別労働相談窓口」に問い合わせよう。
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