テレワークの「リバウンド」はなぜ起きる? 「意識が低い」で片付けられない構造的な問題:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、テレワークを導入した企業が急増した。ただ、緊急事態宣言解除後は実施率が低下している。テレワークが定着しなかった企業は「意識が低い」のか。筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。
急激なダイエットは瞬間風速的に体重を減少させることができるが、時間が経過すると元の体重にすぐに戻ってしまうことが多い。いわゆる、「リバウンド」というやつだが、日本のテレワークにも同じような現象が起きているようだ。
コロナ時代の新しい働き方ということで、テレワークを導入する企業が急激に増えたのだが、その反動なのか、経済活動が本格的に再開し始めるにつれて、テレワークの実施率が落ちてきているのだ。
3月からテレワーク実施率を定点観測しているパーソル総合研究所によれば、3月から4月にかけて2倍以上の増加をみせていたものの、5月下旬の緊急事態宣言解除後に急落。5月の最終金曜日は30.5%だったものが、6月1日の月曜日になると23.0%まで落ち込んだという。
実際、「通勤電車の混雑」というコロナ以前の日常風景も徐々に戻りつつあるようで、Twitterではぎゅうぎゅうに混み合った車内の写真を投稿し、「ホストクラブよりも三密」という出勤への不安を口にする人も少なくない。
トヨタ自動車、日立製作所、NTT、キリンホールディングスなど在宅勤務を拡大する企業や、富士通のように通勤定期代まで廃止する企業が続々と現れている一方で、なぜこのようなテレワーク化のぶり返し、「テレワークリバウンド」が発生しているのか。
専門家に言わせると、これはデジタル化を進めていない企業が多いからだという。まず、よく言われるのが、ハンコ業務や経理精算などの「ペーパーワーク」が仕事の中でかなりのウエイトを占めているため、会社に行かなければいけないのである。
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