リモートワーク、社員をどう管理する? 4つの成功ポイント:「仕事の進捗がみえにくい」などの課題(2/2 ページ)
在宅勤務が広がる中、社員のコンディションが分からない、仕事の進捗がみえにくい、パフォーマンスが下がりがち、といったマネジメント上の課題が浮き彫りに。代表的な取り組み事例から、リモートワークを成功させるポイントをみていく。
例えば、目標管理を行うシステム上で、個人のセルフ・マネジメント画面のコメント欄に目標に対するアクションと成果、振り返りを記入してもらう。それを上司が確認することで、部下やメンバーの自律的な活動をフォローし、必要に応じたサポートをしやすい環境を整備する。
また、1on1の頻度を隔週から週1回に変更し、自己申告のコメント欄などに「自身の現在のコンディション」を追加して、リモート環境のなかで困っていることや共有したいことがあれば、部下・メンバーから積極的に話しやすいような環境に配慮する。
目標に対する管理を強化するということではなく、マネジメントのアクション頻度を高めることで、部下・メンバーの自律的な動きをサポートする。メンバーの動きがみえにくいリモートワークだからこそ、マネジメント・ツールや1on1などをうまく取り入れ、日々の共有を増やしてみるのも効果的である。
4. 雑談の活用とシャッフル1on1の実施
マネジメントの観点でのテレワークの効用は、作業時間の確保が容易であるという点にある。そこで、無駄な打ち合わせは極力排除し、定例ミーティングについては上限20分というようなルール設定をして運用する。
その一方で、「困ったときにはすぐに相談」という状態を確保するためには、日々のなかでの雑談が何より重要となるので、「雑談の量」を増やすことを目的としてさまざまな施策を考慮することも重要である。例えば、通常は上司と部下で行うことが多い1on1を、役職も職種も関係なくランダムにシャッフルして行う「シャッフル1on1」という取り組みを行っている企業もある。
例えば、週1回15分の開催で、雑談やちょっとした仕事の相談をする。他部署や他チームとの連携がうまく取れないとか、仕事でのフィードバックをもらう機会が少ないという場合には、このような取り組みは有効である。「職場や職種が違う相手と話す機会がもてて楽しい」など、ポジティブな声が出てくれば成功といえるだろう。これらの取り組み事例に共通していえるのは、リモートマネジメントの場合、オフラインでのマネジメント以上に「相手を信じること」が重要ということだ。業務の進捗については、必要以上の確認は行わず、社員がアラートをあげやすい環境を作ることで、何か困ったことが起きる前に、可能なかぎり未然に手を打てるようにすることである。
リモートマネジメントの質を高めるヒントは、このあたりにありそうだ。
著者:吉田寿(ビジネスコーチ株式会社 チーフHRビジネスオフィサー)
『人事実務』2020年7月号特集「遠隔マネジメント」解説1より一部抜粋して掲載
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