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老舗の製薬会社が頼った、月10万円で雇える“オンライン副業人材”ネット通販売上が130%増(1/2 ページ)

長野県木曽地方で、江戸時代から受け継がれてきた「百草」を胃腸薬として製造・販売する日野製薬。2020年3月からネット通販(EC)の売り上げを伸ばすため、“オンライン副業人材”を採用している。その成果は。

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 長野県木曽地方で、江戸時代から受け継がれてきた「百草」を胃腸薬として製造・販売する日野製薬は、1947年創業、社員約20人の小さな会社だ。2019年、大手IT企業でコンサルタントを務めていた創業家一族の石黒和佳子氏が4代目社長に就任。20年3月からネット通販(EC)の売り上げを伸ばすため、“オンライン副業人材”を採用している。

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日野製薬の「百草・百草丸」=同社のECサイトより

 採用したのは、東証1部上場企業でデジタルマーケティング業務を担当する30代男性。採用形態は月30時間・原則リモートワークの業務委託形契約だ。石黒社長、社内EC担当者2人、外部のWeb制作会社の担当者、そしてこのオンライン副業人材が毎週平日に行うWeb会議に参加している。

 オンライン副業人材が作成したコンバージョン率などKPIデータの結果を踏まえ、毎週の会議で“打ち手”を決定。データ抽出から打ち手の実行まで、オンライン副業人材がリードする形で繰り返すようになって、すぐに売り上げが前年比130%程度にまで伸びたという。

 結果につながった社内の1番の変化は、「週単位でPDCAが徹底できるようになったこと」だと石黒社長は話す。これまで日野製薬のネット通販担当者は、発送業務などいくつかの業務を兼任してきた。

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日野製薬の石黒和佳子社長

 「改善したいことがあっても、目の前の業務で忙しくしている担当者だけでは対応できなかった。他社での経験が豊富で専門性もあるオンライン副業人材に“セミ社員”となってもらい、ネット通販の改善業務だけを専任として担当してもらうことで、日々の業務に引っ張られず、これまで気になっていたことが着々と進められている」(石黒社長)

オンライン副業人材とは?

 数十人規模の中小企業では、1人の社員が複数の業務を兼任していることが普通だ。日々の売り上げを稼ぐために緊急度が高い定常業務を担当しながら、そうした業務の生産性も高めていくため、改善も進めなければいけない。

 しかし業務を効率化する方法を思い付いても、「今月の忙しさを考えると『導入までやって』といわれたら困る。上司に伝えるのはやめよう」と誰も口にしなくなると、日々の業務の生産性は上がらず、ずっと忙しいまま──という負のサイクルに陥る。こうした中、日野製薬のようにオンライン副業人材を専任担当者として活用し、成果をあげる中小企業が出てきている。

 副業人材とは、18年1月に厚生労働省が副業を解禁(モデル就業規則を副業NGから副業OKに改定)したことで生まれた、正社員、契約社員、派遣社員などに加わる人材の一形態だ。東証1部上場企業など主要企業の5割程度は副業を解禁しており(日本経済新聞社調査、19年5月)、国内では約436万人いるとされている(ランサーズ社、19年)。

 直近では、新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモートワークが急速に浸透。通勤時間の減少による月30〜40時間程度のスキマ時間の増加などを受け、リモートでの副業希望者、つまりオンライン副業人材が増えている。

外注との違いは「コストが安い」「小さな業務も頼みやすい」

 このようなオンライン副業人材と同じ程度の質や量で業務を行える、Webマーケティングのコンサルティング会社は多数存在する。しかし、そこには個人と法人(組織)、そして副業という働き方から生まれる構造的な違いがいくつかある。

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