2015年7月27日以前の記事
検索
連載

シトロエン・ベルランゴ 商用車派生ミニバンの世界池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/8 ページ)

商用車と商用車ベースのクルマにはまた独特の良さがあって、筆者もそういう世界は聞きかじり程度に知っている。こんな世界にこの8月、ニューカマーとして日本市場にやってきたのがこのシトロエン・ベルランゴである。いろいろ覚悟ができる人にとって、ノア/ボクシーを避けつつ、家族をもてなすクルマという意味での存在価値はそれなりに高い。さらにいえば、運転することの楽しさも放棄しないで済む。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

 ちなみに、ブラインドスポットモニター・トラフィックサインインフォメーション、 俯瞰(ふかん)視点機能付きのバックカメラ、インテリジェントハイビームなどを加え、2020年の自家用車として「いま時それかよ」な部分はとりあえずない。


ナビやオーディオに加え、車両のセッティング画面などが統合されたタッチスクリーン式モニター。画面右下にUSBソケットが付くので、直下のトレーにスマホを置くことになるが、なぜかエアコンでキンキンに冷やされる。さらに下にあるのがシフトのセレクターだが、これは実用性に問題あり

 さて、ベルランゴの一番の美点はその鷹揚(おうよう)な走りである。ベルランゴを買う人がどういう人かといえば、日産GT-Rを買う人とは違うし、マツダ・ロードスターを買う人とも違うはず。決めつけた書き方をしてしまえば、夫婦と子供2人のファミリー生活を楽しくするクルマを探しているような人だろう。

 機能だけ見ればトヨタのミニバン、ノア/ボクシーでもいいのだろうが、あそこに決定的に欠けているのは運転体験である。GRが仕上げたモデルでも選べば別だが、素のノア/ボクシーには、「クルマ好きとしての自分を諦めて、家族のために選ぶ」気持ちがあるように思う。またぞろオーナーから激怒したコメントが大量に書き込まれるだろうが、筆者はメーカーにも読者にも忖度(そんたく)はしない。事実を書けないなら書く意味がない。ノア/ボクシーはドライバーズカーとして選ぶクルマではないし、ドライバーズカーとして選ぶ人がいるのだとしたらその人とは価値観が違いすぎる。

 ただし念のために書いておくが、ドライバーズカーとしての価値だけが全てではないし、後述するがベルランゴが逆立ちしてもノア/ボクシーに敵わないところも存在する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る