「代表者が常に会社にいる必要はあるのか」 CEOが屋久島からリモート勤務、クラッソーネの挑戦:コミュニケーションが消えない工夫(2/2 ページ)
クラッソーネは2011年設立、解体工事や外構・エクステリア工事などのマッチングサービスを行う企業だ。本社のある名古屋に加えて、東京、屋久島の計3カ所に拠点を構え、理念「豊かな暮らしで人々を笑顔に」を軸にユニークな施策を導入している。
代表者が社内にいなくても、より大きな意思決定が可能に
クラッソーネには屋久島の拠点もあるが、この屋久島オフィスで恒常的に働いているのは代表である川口さんのみだ。
「現時点ではコロナの影響で名古屋にいますが、約1年前から、家族と生活の拠点を屋久島に移し、拠点のある名古屋、東京と3拠点生活を始めました」
その理由も会社のミッションと密接に結びついている。
「『豊かな暮らし』を考えるうえで、住む場所はとても大事だと考えています。社会的にもリモートワークが進んでいくのであれば、働き方や暮らし方も変わっていきます。また、代表者が常に会社にいる必要はあるのかと考え、実験的に拠点を移しました。1年たってここまでリモートが重要になってくるとは当時は思っていませんでしたが(笑)」
代表者がメインオフィスから離れる体制を続けて1年、みえてきたものは何だろうか。
「まず個人面でいえば、自然も豊かで私も家族ものびのび暮らせています。そして会社の変化としては、自走する組織として強くなっていると感じますね。会社にいるとつい気になって口出しをしてしまう。これは、任せたと言いつつ中途半端になってしまいよくないことだと思うのです」
一方でデメリットとしては、トラブルや緊急時など、クルーから直接相談したいときにすぐに話せないことなどがあるそうだ。
「ただ、コロナ禍のなかで、より大きな意思決定もオンラインで行えるようになってきました。直接話したいというのは、会ったほうが安心という気持ちからきているもので、慣れで変わる部分もありますね」(川口さん)
コロナ対応についても、代表以外の幹部が主導で議論を進めていたという。
「本格的に議論を始めたのは2月半ばごろだったでしょうか。川口は基本的に屋久島なので(笑)、検討自体は川口以外の幹部で進めました」(宮田さん)「私は報告をもらいSlack で承認の返事をしただけですね」と川口さんは笑う。
今後の働き方について、「感染リスクがなくなったわけではありません。当社ではリモートでも生産性を保てると分かってきたので、続けていきたいと思っています」と宮田さん。新しい働き方を模索するなかでも「豊かな暮らし」が意図されているところに、同社らしさが見て取れそうだ。
(2020年5月28日オンライン取材にて)
<会社概要>
●社名:株式会社クラッソーネ
●設立:2011年4月
●資本金:1億5298万5000円
●事業内容:住関連工事・住関連製品の斡旋、住宅建築にまつわる情報提供
●従業員数:47人
●本社:愛知県名古屋市中村区名駅5-7-30 名駅東ビル4F
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