社食のランチを宅配、リモートでも「食生活を支えたい」と一念発起 ココネの事例:簡単レシピも提供(2/2 ページ)
IT企業・ココネは、「ココネデリ」と呼ぶ社員食堂を設け、専属のシェフが栄養バランスの取れた食事を日々提供。大半の社員がリモートワークに移行している最近では、社員に食事を宅配する「ホームデリ」を始めた。
同社には一人暮らしの社員も多く、事前に行った社員アンケートでは、出来合いのものを買って食べたり、一般の宅配を利用したりする人が多かった。食事内容の偏りが懸念されたため、デリのスタッフたちが、「社員の食生活を少しでも支えたい!」と一念発起し、ランチを作って冷凍した状態で届けることにした。
食事の栄養バランスを保てるのもうれしいが、それだけではない。リモートワークでは孤立感が生じがちだが、「自分の好き嫌いまで把握しくれているデリのスタッフが作ってくれるので、すごく温かいものとして届いたと思います」(石渡氏)と言うように、心の支えにもなっている。
また、シェフが定期的に、家でできる料理のレシピを公開している。社員が情報共有するSlack上にアップし、過去に掲載したものは、社内ポータルサイトで見られるようにした。「家にある調味料でできる簡単な料理のレシピをメンバーが日々アップしてくれています。『買いだめしたものを使い切るレシピが欲しい』といったコメントをくださる社員もいて、それを受けてメニューを考えることもあります」(臼井氏)と言う。
“ウィズ・コロナ”への対応
今後については、「まず朝食を復活させたいですね。コーンフレークではなく、スープなど温かいものを。それと、こうした災害時のために、レトルトパウチのカレーを開発しました。今は冷凍で送っていますが、常温で保存できるものも作って備蓄できるようにしたいと思っています」(臼井氏)、と意欲的だ。
また、石渡氏は、「“ウィズ・コロナ”時代のなか、出社してくれている人とリモートワークをしている人の両方にどういうサービスを届けるか、コロナ時代で半数くらいしか出社しないなかでどうコミュニケーションに関与していくかというのも考え直す必要があります」と指摘する。
デリを作って終わりではなく、改善し続ける
最後に、取材にご対応いただいた皆さんから、他社に向けたメッセージをいただいた。
「福利厚生的な施策は作って終わりになることが多い気がします。しかし、当社の場合、社員をお客さまとしたサービスだと思っていますので、与えて終わりではなく、改善を重ねてきた結果ようやく定着してきました。『デリを作りました、以上。』ではなく、本当に満足しているか、味は飽きないか、量はどうだろう、サラダだけ食べたい人にはどうしてあげるか、というように、常に改善していくことでその会社に合ったサービスができてきます。当社は、社員に嫌がられるくらいに社員アンケートを行いますが、それは、お客さまである従業員の意見や傾向を確認しながらよい方向に改善したいと思っているからです。改善し続けることが大事だと思います」(石渡氏)
「やはり、社員はお客さまという意識は大切ですね。当社のデリが一般の飲食店と違うのは、自分たちも同じ社員であり、お客さまである社員と身近な関係を築き、聞くことができる点です。気軽に聞けるし、要望をいただくことができる。また、食に興味をもってもらえるように、こちらからアプローチしていくこともできます。改善・改良していけることは、私たちにとってもやりがいがあります」(臼井氏)
<会社概要>
●社名:ココネ株式会社
●設立:2008年
●資本金:10億1400万
●事業内容:ソーシャルネットワークサービス事業、教育事業、語学事業
●従業員数:440人(2020年1月末現在)
●本社:東京都世田谷区若林3-1-18
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