テレワークと出社を併用するハイブリッド型勤務体制へ ENECHANGEの手応え:オフィスは4割減(2/2 ページ)
新型コロナへの危機感が高まる中、対応が迅速だったENECHANGE。東京都の緊急事態宣言が明けると、週1〜2日の出勤とテレワークを組み合わせた働き方、ハイブリッド勤務制度を本格導入した。
「もちろん、セルフマネジメントができているというのが前提です。また、評価は成果ベースで行っていて、勤務時間ではないというカルチャーがあるというのも大きな要素でしょう。メンバーの一人一人を細かくマネジメントしようとは考えていません。2週間ごとに(テレワーク移行後は週1回に変更)レポーティングラインでの1on1を義務付けていますが、これは対面でもオンラインでも変わりはなく、むしろお互い自宅でリラックスした方が話しやすかったりもします」
一部、新入社員のオンボーディングなどでは対面がよい点もあるというが、基本的にはITの活用でオフラインと同等の生産性が可能になっている。
さらに、コロナ禍以前からローカルPCへのファイル保存を禁止していたというから、共有文化は徹底している。
「クラウド上で管理できるものはクラウド上に。これは透明性を維持するための仕組みでもあります」
「出社を楽しく」する工夫
有田さんは「基本的に出社もリモートもどちらがどうということはありません。必要に応じて都合のよい場所で働けばよいと思っています」とフラットな姿勢だ。
加えて、出社時のコミュニケーション支援のため、ランチ手当を設けた。1人つき月に2回、1回1500円を上限に、社員同士のランチを補助するものだ。感染予防を考え、現時点では人数は3人までとしている。テレワーク中には減りがちな雑談をしたりストレス解消になればと期待している。
働き方の変化を受けて社内アンケートからは引っ越しを考えているという回答が約3割にものぼっている。既に単身赴任で働いていた社員が、地方に住む家族のもとへ戻ったケースも出ているそうだ。
有田さんは、働き方の柔軟化について「採用面での狙いもありますが、まずパフォーマンスが高い人がより力を発揮できる環境を整えることが目標です。現在行っている施策にしても、社員の反応をみながら内容は変化させています」と話す。個別の施策や制度ではなく、3つのバリューを軸に、どういう働きかけに効果があるのか動的にみていく。その姿勢の柔軟さもバリュー体現の一環といえそうだ。
<会社概要>
●社名:ENECHANGE株式会社
●設立:2015年4月
●資本金:12億8550万円(資本準備金含む)
●事業内容:エネルギープラットフォーム事業、エネルギーデータ事業
●従業員数:100人(2019年5月時点)
●本社:東京都千代田区大手町2-6-2日本ビル3F
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