バイトにボーナス? 同一同賃がやってくる:違いがあるかないか(1/2 ページ)
非正規労働者は4割を超える割合を占めている日本。大阪医薬大のアルバイトが、正職員だけボーナスをもらうのは差別であるという訴えを起こした裁判で、最高裁が正規職員だけにボーナスを出すことを合理性があると認めました。
著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた)
株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。
2つの判決が出ました。正社員だけがボーナスをもらうのは差別であり、アルバイトにもボーナスを出すべきという訴訟は、最高裁で否定されたといえます。ところがその2日後、今度は別の裁判で最高裁は郵便局の非正規職員(契約社員)に、正職員にはある扶養手当や年末年始、盆など季節手当や休暇を与えないことを不合理な格差と認めました。
正規職員と非正規職員の待遇には通常明確な差があります。この2つの判決は片やボーナス有り・無しはOK、もう一方では手当の有無はだめという、真逆の判断のように見えます。
政府は「同一労働同一賃金」の運用を図っています。同じ業務をしているなら、賃金(給与)は同じであるようにするというものです。一見真逆に見える、ほぼ同時期に出た2つの最高裁判決は、この言葉で読み解くことができます。
同一労働同一賃金とは
厚生労働省のホームページには、「同一労働同一賃金とは、いわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの」と説明されています。
シンプルにいうなら、正規雇用者と非正規雇用者が同じ業務をしているなら、その雇用形態や呼称の違い(正社員とパート・アルバイトなど)に関係なく、賃金も等しくするという考え方です。郵便局の正職員には扶養手当や年末年始、盆手当が出るのに、正職員と同じ職務を担当している契約社員(=非正規労働者)に無いのは不合理だというのが裁判所の判断です。
がんばって難しい大学を卒業して正社員として雇われた人も、その会社にバイトで今日から働き始めた人も、「同一労働」であるなら、「同一賃金」にせよということになります。もっといえば勤続30年の大ベテランも、新入社員も、「同一労働」であるなら、「同一賃金」とすべしというのが政府の方針といえるでしょう。
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