リモートワークの次の働き方 「平日・都市型ワーケーション」のすすめ:コロナ禍に最適!?(2/3 ページ)
社会の変化に合わせ、新たな働き方として注目されているのが、「都市型ワーケーション」だ。さらに平日の業務時間内に出張先た旅先で仕事をする「平日型ワーケーション」も注目を集めている。作家/ワークスタイル専門家の沢渡あまね氏などに効用を聞いた。
企業側のメリットとは?
ワーケーションにおいて「仕事」が主語となっていることで、企業側にも次のようなメリットがあるという。
「『休日型ワーケーション』は、余暇を大前提としているために、例えば雨が降ったから行かないということも十分考えられます。ところが業務時間内に業務扱いでやる『平日型ワーケーション』では、雨が降ったから仕事をしないというのはないわけです。企業側が積極的に、例えばリゾート地に行ってそこでアイデア出しの会議をしたり、事業の企画や構想をしたりするなど、クリエイティビティ(創造性)が求められる仕事をすることによって生産性を上げることもできるようになります」(沢渡氏)
同時に沢渡氏は、企業側が主体となることで、安定した地方創生にもつながるという。
「これまで地方創生はB2Cになりがちでした。個人客、観光客向けの飲み食いレクリエーション中心のビジネスモデルです。このモデルは競合も多く、天候にも左右されるなど脆弱性を伴います。個人客は気まぐれですから、気分で突然キャンセルしたりもする。
一方で、企業が主導するワーケーションのような取り組みは、いわばB2Bの地域活性モデルです。企業が平日に、業務扱いでお金を出して、社員を地方都市に移動させるわけです。平日に地方や観光地への仕事の動線を作り、飲食や宿泊を通じてその地域にお金も落ちる。サステイナブル(持続可能性のある)な取り組みになり得ます」
「平日型ワーケーション」の可能性
このように、企業主体の「平日型ワーケーション」は新たな地方創生の手段としても注目される。とはいえ、職場や自宅から遠く離れた観光地に移動することは、費用面でも時間の面でもデメリットは否めない。新型コロナウイルスの感染拡大が続く昨今では、公共交通機関で長時間にわたって不特定多数と一緒に移動をすることにはリスクも伴う。これは「休日型ワーケーション」も「平日型ワーケーション」も同じだ。
そこで「都市型ワーケーション」に注目してみたい。都市部にもワーケーションできる場所が十分にあるのではないか、という考え方である。長距離移動を伴わないため、コスト面だけでなく、新型コロナウイルス感染拡大におけるリスク面、そして従業員の心理面などの問題も解消できる。
大都市圏においても、1時間程度の移動によってリフレッシュ気分を味わえる場所は少なくない。温泉地でも例えば神戸市の有馬温泉や札幌市の定山渓温泉、仙台市の秋保温泉や作並温泉などがある。東京の場合も同じだ。実は都内にも温泉が湧く銭湯は数多くあるほか、温泉のある日帰り入浴施設も少なくない。少し観光地気分を味わおうと思えば、東京ディズニーリゾートやお台場などもある。
実はこうした観光地やリゾート地に限らず、ワーケーションに適した「穴場」は都市部にも意外とある。今回、品川区八潮地区にスポットを当てて「都市型ワーケーション」の可能性を考えてみたい。八潮地区は、お台場西岸から東京港トンネルを挟んだ場所にあるところで、「八潮パークタウン」と呼ばれる都内有数の団地や、JR東海の「新幹線大井車両基地」やJR貨物の「東京貨物ターミナル駅」などがある。
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