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堀江貴文がコロナ禍で提示するミュージカル『クリスマスキャロル』 「“不要不急”こそが人間の本質」運営とマネタイズの難しさ(1/3 ページ)

ホリエモンこと堀江貴文が今年も舞台ビジネスの新たな可能性に挑戦している。12月9日から15日まで東京キネマ倶楽部で、 24日と25日に兵庫県のクラブ月世界Hallでミュージカル『クリスマスキャロル』を公演中だ。堀江はコロナ禍での舞台ビジネスの運営や在り方をどう展望しているのか。新たなマネタイズの方法について何を考えているのか。堀江に聞いた。

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 ホリエモンこと堀江貴文が今年も舞台ビジネスの新たな可能性に挑戦している。英国の作家チャールズ・ディケンズ原作のミュージカル『クリスマスキャロル』を12月9日から15日まで東京キネマ倶楽部で、 24日と25日に兵庫県のクラブ月世界Hallで公演中だ。

 堀江がプロデュースする同公演は堀江自身が主演を務め、今年で4回目になる。保守的な演劇界の慣習や収益システムに一石を投じたい狙いがあることは、2019年に堀江貴文がミュージカル『クリスマスキャロル』で仕掛ける「新時代の舞台ビジネス」でレポートした通りだ。

 だが、今回はコロナ禍での公演実施を余儀なくされた点で昨年とは大きく事情が異なる。ぴあ総研は2020年のライブ・エンターテインメントの市場規模を1836億円と、19年の7割減に落ち込むとの予測を発表した。19年まで3年連続で伸びてきた市場が大きく落ち込むことは確実だ。

 そんな中、堀江は今後の舞台ビジネスの運営や在り方をどう展望しているのか。新たなマネタイズの方法について何を考えているのか。堀江に聞いた。

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堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダー。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。19年5月4日にはインターステラテクノロジズ社のロケット「MOMO3号機」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した(撮影:河嶌太郎)

逆風吹き荒れる中での公演

 「2020年は本当にいろいろと大変だったので……。何とか今日を迎えられて本当によかったと思っています」

 堀江が普段の強気な姿勢とは違った言葉をこぼした。コロナ禍という逆風の中で『クリスマスキャロル』を公演できたことに安堵を覚えているようだ。

 同公演は堀江が演じる主人公・スクルージがカネに執着した偏屈な生き方を見つめ直し、"素直な自分に回帰する”ことをテーマにしている。「IT企業の経営者として未曾有の成功を収めたものの、 社内では『カネが全ての守銭奴』と恐れられ、クリスマスに憎しみのような感情を持っている」という設定だ。

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堀江が演じる主人公・スクルージがカネに執着した偏屈な生き方を見つめ直し、"素直な自分に回帰する”ことをテーマにしている

 通常の演劇ビジネスとの違いは「観客が公演中に飲食ができる」スタイルにある。これは僕の足を引っ張らない社会を作る――ホリエモンが演劇をアップデートする理由で紹介した通り、演劇のことを知らない人でも楽しめるようにする仕掛けだ。いわば飲食と劇を一体としたミュージカル体験を創出している。

 今回も美崎牛本店(沖縄県石垣市)の美崎牛ローストビーフのポルチーニソースをはじめ宮崎キャビア(宮崎県椎葉村)の純国産キャビアを一人一瓶提供するなど工夫を凝らしていた。メニューの狙いを堀江が語る。

 「定番を出すのが大事。例えばローストビーフは肉もおいしいしポルチーニソースも絶対おいしいじゃないですか。こういうときはあまり奇をてらうとだめで、分かりやすくおいしいものを温かく提供することが必要ですよね」

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純国産キャビアを一人一瓶提供
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美崎牛ローストビーフのポルチーニソース

 クリスマスキャロルは富裕層をターゲットにしたビジネスモデルだ。食事なしの席でも7000円(以下、税込)で、アリーナ席と2階テーブル席は4万円。展望ビューシートは5万円で、「VIP席」は15万円に設定している。VIP席は休憩中の40分間と終演後の時間に堀江が同席して歓談できるのが特典だ。「忘年会」的な演出によって顧客満足につなげている。しかし、今年はコロナ禍ということもあり、実施に当たってはかなりの困難があったようだ。

 「ほんとはもっとワイワイやりたいんですけどね。例年は忘年会みたいで楽しいんですけど、なかなかみんなそういう気分になれないというか……」

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ヒロインのケイト役を演じた寺本莉緒
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19年の同公演で天使ラファエル役を演じ、アパレル企業を起業した片岡沙耶が手縫いのネーム入りマスクを制作。キャストが着用していた
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ステージの向かいで食事を楽しみながら観劇する独特のスタイル
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