中小企業でもジョブ型雇用は可能なのか:難しいのでは(3/3 ページ)
「ジョブ型雇用」という言葉をよく聞くようになった。中小企業も真似すべきなのか。本当にうまくいくのだろうか。
ジム・コリンズの有名なくだりがある。
「先に適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうかを決めている。このバスでどこに行くべきかは分からない。しかし、わかっていることもある。適切な人がバスに乗り、適切な人がそれぞれにふさわしい席につき、不適切な人がバスから降りれば、素晴らしい場所に行く方法を決められるはずだ」(「ビジョナリーカンパニー2」ジム・コリンズ 著)
また、「戦略は組織に従う」(イゴール・アンゾフ)というのもある。
いずれも、「この人!」と思った人材をまず、自分のチームに迎え入れ、そしてその組織をベースに、その組織を生かした戦略、未来を目指すべきという意味だが、こうした考えはもう古いのだろうか。企業の寿命がどんどん短くなるにつれ、長期的な企業の存続を目指す方向性はもはや難しいのだろうか。
ジョブ型を実際に取り入れている企業では、新卒〜若手はメンバーシップ型、中堅〜管理職に対してはジョブ型を採用していくとする企業があるという。
昨今、中高年ビジネスマンへの風当たりが強いが、まずます厳しくなっていきそうだ。そして、できる人はまずます対価を払える企業に集中するのだろう。チームワークや個性で生き残りを図る中小に人材が回ってくるとも思えず、大企業と中小の差はさらに広がるのだろうか。
貴重な人材がいなくなってしまわないうちに、今一度、「適材適所」で、もちろん、不適切な人には、バスから降りてもらわなければならないが、一度乗せたのなら、バスをどこに向かわせるのか、中小〜小規模の経営者は常に問われている。(猪口 真)
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