学生の自宅に“仕事体験キット”送付、オンラインでインターン 「実際にモノに触れないと分からない」悩みを解消:交通費より安く済む(2/2 ページ)
建物・施設の維持管理を手掛けるマイスターエンジニアリングは、昨年からオンラインによる1dayの仕事体験を始めた。学生の自宅に教材キットが届くコースもあり、オンラインでも実際の仕事に近い内容を体験できるという。
仕事が自分に合っているか確認してもらうのが狙い
「どのコースにもいえることですが、実際の業務に近い作業を体験してもらい、学生の皆さんにそれが楽しいと思えるかを確認してもらいます。なぜなら、技術者として、面白いと思えなければなかなかスキルは身に付かない。楽しくて仕方がない、という技術者のほうが多くのスキルが身に付きます」(中園氏)
仕事体験では、どんな仕事が自分に合っているのか、学生に考えてもらうのが大きな狙いだ。楽しいと思えないとスキルは身に付かない。
オンライン仕事体験では実際に働くイメージをもてるほか、技術者と交流してアドバイスをもらえたり、学校で学んだことがどのような仕事で役に立つか分かるため、学生からの反応も良い。実施後のアンケートでは学生の満足度が9割以上とのこと。
インターンシップ中は黙々と課題に取り組むだけではなく、技術者と雑談も交えて行うため、オンラインであっても社風が伝わりやすいという。また、来社型もオンラインも、仕事体験では最後に現場で働く社員との座談会も設けられている。社員の年齢は20代から40代まで、各グループさまざまな年代の社員と話し、実際の仕事について聞くことができる。
ちなみに教材は使用後、学生に梱包してもらい、宅配便で送り返してもらう。学生一人一人に教材を送るのは、来社してもらう際に払う交通費よりもよほど安く済むという。
今後の1day仕事体験については、今年2月までは継続する予定だ。来社型も含めて、76回実施する予定だという。1day仕事体験を多く実施する理由としては、コロナ禍で一度に多くの学生を集客できないため、回数を増やしてさまざまな学生に仕事を体験してもらい、自社に興味をもってもらうためだという。
「一昨年までは夏に2週間のインターンシップを実施していましたが、学生の就活スタイルが変化したため、夏のインターンシップに加えて秋から冬にかけて1day仕事体験を複数回実施することにしました。実は、コロナは関係なく一昨年くらいからオンラインの仕事体験の話はありました。VRを使って実施する企業の情報もありましたし、何かできないかということは考えていました。それで昨年2月くらいには担当を決めて準備を進めようということになった。それからすぐ世の中全体でコロナが感染拡大したので、必然的にオンラインで開催しなければと思い、急ピッチで準備を進めました。学生からのニーズもあるので、コロナが終息した後もこのような形のオンラインインターンシップは続けたいと思います」(圓谷氏)
地方の学生にとってオンラインインターンシップは大きな魅力だ。新型コロナウイルス感染拡大のため、オンラインでインターンシップを実施したという企業が多い。しかし、学生のことを考えると、今後も続ける企業は増えそうだ。そうなったときに、オンラインでいかに実際の仕事に近いものにするかが課題になるだろう。マイスターエンジニアリングの例は示唆に富んだものといえるのではないだろうか。
(取材・文 小林信一)
関連記事
- 「正直、不安だった」 “ひとり人事”が入社直後、最初に取り組んだこと
2019年1月、note株式会社に「会社初の人事専任担当者」として入社した、北上あいさん。入社当時、採用活動は各事業を担当する役員が自ら採用計画を立てて実施していたという。そんな状況から、人材採用プロセス、評価制度などをどう整備していったのか。 - 「私、何もできていない」──在宅勤務で新入社員の不安が大爆発、解決したのは“全国をつなぐバーチャルオフィス”
コロナ禍をきっかけに在宅勤務が広がる一方で、多くの企業が課題に感じるのがコミュニケーション不足だ。エン・ジャパンでも特に営業担当の若手社員を中心に、慣れない在宅勤務で不安を感じるケースが多かったという。それを解決したのが“バーチャルオフィス”だ。活用することで情報交換が活発になり営業成績もアップしたというバーチャルオフィスの導入秘話を聞いた。 - 面積を40%削減、座席数は75%減 ぐるなび流「たくましい社員」に使ってもらえる本社オフィス
ぐるなびが11月、新しい本社オフィスの運用を始めた。本社オフィスの面積を40%減らし、オープンスペースにブース状の小部屋を用意するなど、レイアウトを大きく変えた。 - なぜ? 会議室に「鏡」 アイデア勝負で3密回避、面白法人カヤックのオフィス
コロナ禍で、ほぼ全ての社員がリモートワークを余儀なくされた面白法人カヤック。しかし、ちょっとした雑談やブレストを大事にしている同社のワークスタイルとは相いれなかった。そこで、密にならないオフィスを作ろうと奮闘している。
© 人事実務