SFA・CRMの「そして誰も入力しなかった」を防ぐ! インサイドセールスとデータ活用の重要性:ヴィジュアル系が語る!会社を強くするインサイドセールス(2)(2/2 ページ)
電話をはじめとするさまざまな手法を用いてアポイントを獲得する“役割”であるインサイドセールスは、自社サービスを必要としている顧客に丁寧な対応をし、契約につなげるために欠かせない存在です。そして丁寧な顧客対応をするためには、SFAやCRMにデータを蓄積し、活用する必要があります。本記事では、多くの企業が苦心するSFAやCRMの運用のための注意点などを解説します。
データ活用のための準備が肝心! SFA・CRM導入期にすべきこと
SFAやCRMを導入したものの、誰も入力をしなかったり、属人的な運用になってしまい活用が定着しないケースがよくあります。定着させるためには、導入時にしっかりと運用ルールを決めておくことがオススメです。
まずデータが蓄積された後に、どのように活用していくのかを明確にイメージした上で、入力項目、入力ルールを作りましょう。
蓄積されたデータから
- データを活用してどのような営業活動の改善を行いたいのか?
- そのためにはどのような指標を参照すればいいのか?
- そのために必要な入力項目は?
- そのために必要な入力ルールは?
という逆算で設計を行うと、後の運用でも効率よく、役立つ情報が収集できるようになります。
そしてルールを定着化させるためには、トップダウンで行うのがオススメです。多くの場合、情報入力しないメンバーは少なからず出てしまいます。そのため、ある程度強制力がある方が定着させやすいからです。
フィールドセールスがSFA・CRMに入力しない? TodoよりTobeを伝えよ!
インサイドセールスがSFAやCRMの運用を始めても、フィールドセールスが商談結果を入力しないというケースもよく起こります。
フィールドセールスに「入力してください」とただ「Todo」を伝えても、面倒な作業としか思わないため、定着しづらいです。そこで「Tobe」を伝え、腹落ちしてもらうことが重要です。
商談は、直接担当者から生の声をヒアリングできる貴重な機会です。例えそこで失注したとしても、商談結果や失注理由を入力しておけば、インサイドセールスが後日あらためて担当者に連絡し、適切なタイミングでアポイントを設定できます。
しかしここで正しく情報が入力されていないと、あらためて連絡する際に、商談結果や失注理由を再確認するコミュニケーションコストが発生したり、何よりも間違った認識で顧客へ話をしてしまうリスクが発生します。
つまり、商談結果を正しく入力しておけば、後に受注確率の高いアポが増え、営業成績も上げやすくなるということです。
そして、正しく入力していない場合、顧客へ迷惑を掛けてしまい、自社の信頼を失うリスクもあるということを、フィールドセールスには理解してもらいましょう。
お互いをリスペクトする文化を形成しなければ、インサイドセールス組織は崩壊する
インサイドセールスとフィールドセールスの意思疎通に苦労する要因はいくつか考えられますが、フィールドセールスよりインサイドセールスは立場が下、というヒエラルキーが社員の意識に定着してしまっている状況をよく見かけます。
実際に私もいくつかの会社でインサイドセールスを行ってきた中でそのような経験があり、非常に辛かったです。
「アポ取りしかできない人」「フィールドセールスができない人」「誰でもできる仕事」──インサイドセールスに対して、このようなイメージを抱いているメンバーが多いと、インサイドセールスはやりがいもなくなり成果も上がらないでしょう。
インサイドセールスはフィールドセールスとは全く違うスキルが求められますし、誰でも行える簡単な仕事ではありません。ITツールを駆使できる専門性や、常に活動量を担保できる安定感、顧客ごとに臨機応変に思考を切り替える柔軟性、幅広い業界知識などさまざまな能力が必要になります。
商談を行う人がいなければ困るのと同様、良質なアポを獲得するのも専門的かつ重要な仕事です。お互いがリスペクトを持てる組織を作りましょう。
インサイドセールスとフィールドセールスの情報連携で営業をより強化する!
インサイドセールスもフィールドセールスも「売り上げを上げる」という目的は共通のはずです。それなのに「アポの質が悪い」「アポを取ってるのに受注してくれない」という不満だけを述べているようでは前に進めません。
繰り返しになりますが「売り上げを上げる」という共通の目的を達成するために、どうすれば改善できるのか、生産性のあるコミュニケーションを取っていきましょう。
そのために例えば、企業によってはインサイドセールスとフィールドセールスが2人で1組のペアとなり、ペアごとに数値目標を与えられているケースもあります。
メンバー同士がリスペクトを持つ文化を作ることや、仕組みで解決することも可能なので、ぜひ最大限インサイドセールスを有効活用していきましょう。
それでは今回はここまでです。最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回の記事を、楽しみにしていてください。
著者プロフィール・堤貴宏(つつみたかひろ)
ホットリンク マーケティング本部インサイドセールス部。
高校卒業後13年間ヴィジュアル系バンドのギタリストとして活動、引退したのちビジネスマンに転向。2社での経験を経てホットリンクに入社。一貫してインサイドセールス職に従事している。「ヴィジュアル系インサイドセールス」の肩書でSNSやイベント登壇を行っている。
Twitter:@hotto_mihiro
Voicy:聴け、ビジュアル系の叫び
楽曲:インサイドセールス・ラプソディ/インサイドセールス・レボリューション
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