横浜市の「EVバス」実証実験が、路線バスの将来像に大きな影響を与えそうな理由:FCバスも(4/4 ページ)
横浜市がEVバスの実証実験を行っている。同プロジェクトは路線バスの将来像を築き上げる可能性を秘めていると筆者は考える。その理由とは?
カーボンニュートラル、脱炭素社会に向けて
菅義偉総理大臣は就任後の所信表明演説で、「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」(出典:首相官邸公式Webサイト)ことを宣言している。
しかし、日本は後れをとっている状況で、すでにイギリスでは2035年まで、ヨーロッパでは2040年まで、ガソリン車やディーゼル車の販売禁止を目標に掲げている。
菅総理大臣の所信表明通り、2050年を目途にカーボンニュートラル、脱炭素社会を実現させる場合、大都市のEVバス化は遅くとも2040年まで完了すべきと考える。横浜など大都市路線バスの車両寿命は、約10年を目安としているからだ。
役目を終えた車両の一部は、地方のバス事業者が戦力として購入し、小規模な改造ののち、営業運転に就いている。以前、北海道の稚内で元東急バスのオールロングシートの3ドア車(車体の塗装、座席のシートモケットも変わらず)、根室で元市営バス(車体の塗装は変わっていたが、シートモケットは横浜市交通局時代のまま)の車両に乗車したことがある。
地方バスのEV化を完了させるには、遅くとも2050年までが期限となる。今後、中古のディーゼルバス購入時に、国や自治体のバックアップなどでEV化改造、充電施設の整備を進めるなど、ピッチを上げることも検討しなければならないだろう。
著者プロフィール
岸田法眼
『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)、『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)、『AERA dot.』(朝日新聞出版刊)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある。
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