コロナ後にカギを握るのは? 米国、食品スーパーの動向:さまざまな取り組み(2/4 ページ)
米国の食品スーパー業界にも、デジタルの波がやってきている。いや、アマゾンが2017年にスーパーの「ホール・フーズ」を買収したころから、競合他社の多くが危機感を抱き、動き始めている。では、どういった動きをしているのか。まとめてみたところ……。
店頭受け取りオプションが充実
これらのサイトでは、利用者のダイエットやシチュエーションなどに合わせてメニューを提供していて、気に入ったメニューを選択すると必要な材料をリストアップしてくれる。
利用者は、そのリストを元に自分で直接スーパーに買い物に行くこともできるが、ワンクリックで提携するネットスーパーのショッピングカートへ追加してくれる便利な機能が備わっている。メニューを考える手間が省ける便利さと時短になることがウリで、利用者にとってメリットの多いサービスというだけではなく、提携先のネットスーパーにとっても売り上げが期待できるビジネスモデルになっている。
このオンラインサービスと提携している企業には、ウォルマート、Kroger(クローガー)、Albertsons(アルバートソンズ)、Safeway(セイフウェイ)など大手スーパーの他に、アマゾン、食料品のデリバリーサービスを行うInstacart(インスタカート)やShipt(シプト)などがある。
また、Eコマースの利便性を上げるインフラとして、ネットスーパーの利用者から最も関心が高まっているのが、購入した商品の店頭受け取りオプションの充実だ。
これまでネットスーパーは、購入した商品を自宅まで配送するサービスが主流だったのだが、店頭受け取りを希望する人が増えているという。その理由として、デリバリー手数料が安くて済むことや、商品を受け取る日時をコントロールしやすい点にある。仕事や学校の送り迎えの間に、注文した商品を受け取ることや、買い忘れた物をついでにストアで購入することもできるからだ。
このように店頭受け取りの需要が急増しているため、企業は従業員を効率よく配置させ、スピードや利便性を高めるために新たなテクノロジーを導入している。その一つが、コンテナ型自動受け取り設備の設置だ。エストニアの企業「Cleveron(クレベロン)」が提供する設備では、冷蔵と冷凍の2つの温度帯で商品を保存することができ、コードをスキャンするだけでネット注文した商品の受け取りができるという。
しかも、コードをスキャンして商品を手にするまでの時間がわずか1分ほどで、待ち時間が少なくて済むのが特徴となっている。1台の設備に最大120ケースほどの注文商品を保管することができるため、より多くの注文に対応可能になっている。ただし、このシステムを導入するためには、設備投資に多くの費用が必要となる。それだけの投資に見合う需要が確保できるか、費用対効果が気になるところだ。
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