「洋服の青山」、400人希望退職の衝撃! 窮地のスーツ業界が生き残るには:小売・流通アナリストの視点(1/4 ページ)
「洋服の青山」で有名な青山商事が、400人の希望退職を募集すると発表した。コロナ禍によるスーツ離れもあり、窮地のスーツ業界。生き残るためにはどうしていけばよいのか。
紳士服専門店最大手、青山商事が全店の2割にあたる160店を閉鎖、残る約700店のうち約400店の売場を最大で半分に減らすという。また、400人の希望退職を募ったところ、それを上回る約600人の応募があったと発表した。コロナ禍で在宅勤務が拡大したことで、スーツ需要が激減し、業績が大幅に悪化したのが要因だと報じられている。紳士服専門店の業績低迷は青山商事に限った話ではなく、AOKI、コナカ、はるやま、といった大手が、軒並み大幅な減収減益を余儀なくされている。
青山商事の青山社長は、「スーツ市場はコロナ後も元に戻ることはないだろう」(日経MJ 2021年1月25日)とコメントしており、紳士服専門店各社は今後、スーツ以外で巻き返しを図っていくことになる。
コロナ禍により急激な需要減に見舞われた業界ではあるが、スーツを始めとする紳士服需要は、販売量、支出額ともに右肩下がりで推移してきていた。そもそも、就業人口の減少傾向やビジネスシーンにおけるスーツ離れなどの環境は避けられない上に、団塊世代のリタイヤによる、いわゆる「消費の2025年問題」なども見込まれるため、主力のスーツ需要が縮小していくことは各社とも十分に認識していた。
業界各社としても手をこまねいていたわけではなく、レディースの取り込み、オーダースーツ対応、カジュアル業態の強化、多角化展開などの施策を着実に進めようとしていた。その矢先に、新型コロナウイルスが需要減少を一気に前倒してしまったのだから、いかんともしがたい。
あまり知られていないかもしれないが、紳士服専門店大手は、環境変化への対応能力がかなり高い小売業である。少し昔話をしよう。
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