OKR・ノーレイティング──話題の目標設定・評価手法を、単発的に導入してもダメな理由 見直しポイントは?:新連載:ニューノーマル時代のパフォーマンス・マネジメント(1/3 ページ)
コロナ禍で、目標設定、コミュニケーションなどで課題を抱える企業は少なくない。しかし個別の課題に対し、OKRやノーレイティングといった、話題性の高い施策を単発的に導入して、うまくいったという話はあまり聞かない。なぜなのか。
リモートワークが急速に普及し、人々の働き方や価値観が大きく変化するなかで、これまでのパフォーマンス・マネジメントが十分に機能しなくなり、見直しを検討する企業が増えています。パフォーマンス・マネジメントが十分に機能しなくなった原因の一つは、企業を取り巻く環境の中長期的な変化です。この変化は(1)外部環境、(2)ビジネスモデル、(3)組織体制、(4)構成員、(5)働き方の5つに分けられます。
(注)本稿では、目標設定、評価、フィードバック、コーチングなどにより組織・個人の業績や生産性を向上させる手段の総称として、パフォーマンス・マネジメントを定義しています。
一方で、短期的には、コロナ禍の前と後ではどのような変化が見られるでしょうか。コーン・フェリーが実施した大手企業のエンゲージメント調査では、コロナ禍の前後でスコアが悪化した項目として、ビジネス・経営陣への安心感(2〜3年のビジネスの見通し、経営のかじ取り、経営陣への信頼)、目標設定・優先順位付け(戦略的優先事項の理解、会社目標への納得感、高い目標へのチャレンジ)、コミュニケーション・コラボレーション(オープンな情報開示、新任社員への教育)──という3つの課題が特定されています。
この3つの課題を起点として、パフォーマンス・マネジメントでよく聞かれるコメントと見直しに関する議論をご紹介します。
皆さまも会社でこのような議論を経験したかもしれません。しかし、このような個別の課題に対し、OKRやノーレイティングといった、話題性の高い施策を単発的に導入して、うまくいったという話はあまり聞きません。企業の置かれた状況によって、適切な解決策は異なるからです。パフォーマンス・マネジメントの適切な在り方が企業の置かれた環境によって変わることを示す、2つの事例をご紹介します。
「OKRを今後も使うべきか」見直し中、新興企業A社の例
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