配達員トラブル多発のウーバーが、「不祥事相次ぐセブン」と妙に重なるワケ:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
街中でちょいちょいトラブルを起こしているウーバーイーツに、「ルール整備」を求める声があがっている。配達員の危険運転が問題になっているわけだが、筆者の窪田氏は「ウーバーとセブン-イレブンは同じ匂いをしている」という。どういう意味かといと……。
ウーバーとセブンは同じ匂い
このように個人事業主の人たちにニンジンをぶら下げて、競い合わせるシステムに問題があるのならば、英国のように配達員の立場の見直しも必要だ。ただ、現時点でウーバージャパンにはそういう考えはないようだ。
「配達パートナーは個人事業主。雇用関係や業務委託関係はなく、団交応諾義務もない」(日本経済新聞 4月18日)
要するに、ウチは配車アプリや支払いのシステムを提供しているだけなので、労働環境改善だなんだと面倒なことを言うのならやめてくださっても結構ですよ、というスタンスなのだ。
もちろん、法律的にはそういうことになるのだろうし、そもそも最初からこのようなビジネスモデルなんですけど、と言ってしまえばそれまでの話だ。が、個人的には、配達員トラブルが多発している問題が出てきたのも事実なので、原理原則を振りかざすだけではなく、もうちょっと柔軟な対応をしてもいいのではないかと思っている。
ウーバー同様、多くの個人事業主とのパートナーとなることで成長してきたものの、個人事業主からの不満や現場でのトラブルが発生して大炎上してしまった大企業と同じ匂いが漂ってきているからだ。
その大企業とは、セブン‐イレブン・ジャパンだ。
コロナ禍ですっかり忘れられた感もあるが、実は近年、セブンではコンビニオーナーからの不満や現場でのトラブルが多発している。
人手不足から時短営業を決断したオーナーに対してFC本部が違約金1700万円を請求して契約解除を求めた、いわゆる「24時間営業問題」。さらに、FC本部の社員が売上確保のため、オーナーに無断でおでんなどを発注した問題、そこに加えて、全国のオーナーから、消費期限が迫った弁当などを値引きする「見切り販売」をしないよう本部が圧力をかけているなどと公正取引委員会に訴えられ、パートナーとの関係がギクシャクしている。
また、現場のトラブルも多い。売り物のおでんを口に入れて吐き出す不適切動画や、店舗バイトへの賃金未払い、オーナーによる客へのセクハラなどが発生。昨年も店員同士が取っ組み合いのケンカをした動画が拡散されて話題になった。
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