スーパーなのに「18時」閉店!? コロナ禍の「時短時代」を生き抜くヒントを探る:店舗運営のこれから(6/6 ページ)
コロナの影響が長引くと、時短営業を何度も要請される。今後の店舗経営は、「時短時代」に対応する必要がある。18時に閉店するスーパーに、新常態を生き抜くヒントがある。
18時閉店を可能にしたのは生産性の高さ
ロピアの業績は絶好調です。過去にこの連載で紹介したヤオコーやコストコと比較しても、ロピアはダントツの売り上げ伸び率を示しています(ロピアは詳細データをほぼ公開していないため、売り上げだけの比較)。
また、正社員1人当たりの売上高で見ても、ロピアは圧倒的に高い生産性を実現しています。
現在、ロピアは首都圏を中心に58店舗を展開しています。21年度のデータを見ると、1店舗当たり36億円の売り上げです。1年間営業していない店舗も含めているので、実質的には1店舗当たり40億円程度の売り上げと見ていいでしょう。同業であるヤオコーの1店舗当たりの売り上げが25億円なので、高い水準です。
ロピアには「楽しく感動できる、愛に満ちた愛されるお店です」というモットーがあります。お客さんに愛されるためにも、従業員がワクワク働ける店を作ろうという姿勢が見て取れます。
働く従業員のES(従業員満足度)を上げることで、営業時間内に集中して仕事に取り組めます。そして、CX(顧客体験価値)を上げる店をつくることで、結果的にCS(顧客満足度)が向上するのです。
もちろん、まだロピアも小平店以外では20時あるいは21時閉店の店がほとんどです。しかし、他社よりは閉店時間が早いのが特徴です。小平店の動向次第では、他のロピアも18時閉店に移行する可能性もあるでしょう。同社では閉店時間を思い切って早める店をつくることで、時短時代の新しい小売業の働き方に挑戦しているのです。
営業時間を短縮するということは、過去の常識からすると売り上げを減らす選択であり、通常では考えられない決断です。しかし、売り上げを追うのではなく、正しい働き方で適切にもうける店づくりへのチャレンジだと筆者は受け止めています。
「ニューノーマルの経営」などと表現するビジネスパーソンは多いです。しかし、ロピア小平店のように、何が新常態なのかを考えて、具体的な行動に移している企業はまだ少ないように思います。新しいライフスタイルに対応した小売り・サービス業の在り方をロピア小平店に見ました。みなさんも今までの常識を根底から見つめ直し、時短時代に対応したオペレーションを開発していくべきではないでしょうか。
著者プロフィール
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。
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