外国人に聞く、日本で働いて「よかったこと」「がっかりだったこと」:転職を考える理由
日本で働いている(または働いたことがある)外国人は、日本企業のことをどのように感じているのだろうか。
オリジネーター(東京都渋谷区)は5月13日、「日本で働く外国人社員の就労環境と転職」に関するアンケート調査の結果を発表した。外国人社員は日本の「雇用の安定」を評価する一方、「役割の曖昧さ」「人事評価の基準」に不満を持つ人が多いことが分かった。
まず「日本で働いてみて良かったこと」を尋ねたところ、1位は「雇用が安定している」(49.6%)と約半数を占める結果となった。大手企業を中心に、いまだ「長期雇用」が一般的であることが大きな魅力になっていることがうかがえた。2位は「やりたい仕事ができて、やりがいを感じる」(28.7%)、3位は「給与水準が高い」(24.0%)となった。
次に「日本で働いてみて、不満に思ったこと・がっかりしたこと」を尋ねたところ、「給与水準が高くない」(31.8%)がトップ。国によっては留学経験者に対して日本より高い水準の給与を支払うケースがあるため、そのような国や地域の出身者にとっては「日本の給与水準が思ったほど高くない」という印象になったと推測される。
次いで「日本語ネイティブでないことへの配慮が不足」(29.5%)、以下「求められている役割や仕事内容が明確でない」「人事評価の基準が明確でなく、外国人だと昇給・昇進できない」(いずれも28.7%)と続いた。この結果から外国人社員を受け入れる企業側(日本人社員側)も意識や行動を改革させる必要があること、評価制度の変革を迫られていることがうかがえた。
さらに「現在、転職を考えているか」と尋ねたところ、「転職を考えている」(55.8%)が半数を超える結果に。転職を考えている理由の1位は「より成長できる環境を求めて」(63.9%)、2位は「給与を上げるため」(52.8%)、3位は「グローバルな仕事に就くため」(47.2%)となり、外国人社員の上昇志向の強さがうかがえる結果となった。
最後に「転職の際に、企業選びで重視する点」を尋ねたところ、トップは「給与水準が高い」(47.2%)。以下「職場環境や社風に合う」(41.7%)、「グローバルに仕事ができる」(33.3%)と続いた。外国人社員が転職先に求めるものは職場環境・社風や仕事内容よりも、「給与水準」であることが明らかになった。
調査は2021年3月にインターネット上で実施。外国人留学生就職情報サイト『リュウカツ』登録者のうち、日本で働いている(または働いたことがある)外国人社員129人を対象に行った。
関連記事
- 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - タイム誌初の「世界の企業100選」 日本企業は入ったのか?
米国のタイム誌がビジネスパーソン必見の特集を組んでいた。特集名は「世界でもっとも影響力のある100社」。どんな企業が選ばれていたのか、日本の企業は……? - 「緊急事態宣言下に通勤する人」を叩いても、テレワークが普及しない根本的な理由
緊急事態宣言が発令されたにもかかわらず、通勤列車を見ると、たくさんのビジネスパーソンが乗車している。テレワークを実施している企業が増えているはずなのに、なぜ会社で働く人がたくさんいるのか。コロナに対して危機感が乏しいわけでもなく、慣れているわけでもなく……。 - 物価は上昇しても「給料」は上がらない、根本的な問題
4月から公共料金や食品など多くの商品が値上がりしているが、ビジネスパーソンの給与も上がるのだろうか。筆者の加谷氏は否定的な見方をしていて、さらに下落するかもしれないと予測している。なぜかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.