「レジ袋有料化」は“天下の悪法”か 次は「プラ製スプーン有料化」で、経済に大打撃:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)
レジ袋有料化からもうすぐ1年が経過しようとしている。どういう理屈で「エコ」になるとしているのか? プラ製のスプーンやフォークが有料化されると、経済に深刻なダメージを与える可能性もある。
エコバッグを使った万引きが増えた
繰り返すが、レジ袋は日本では廃プラスチックの2%にすぎず、環境省が問題視する海洋汚染解決の本丸ではない。有料化は環境への意識を高めてもらうきっかけづくりだと、環境省自らが認めている。
各家庭においてレジ袋には、ごみ箱の内袋、ごみ箱の代用、ごみ収集袋といった役割がある。それ以外には、冷蔵庫の中の食料保管、洗濯物の保管、犬の糞回収などとして95%以上が再利用され、リユース率が非常に高かった。実態としてワンウェイ、使い捨ての無駄な無料配布物ではなかったのだ。
政府は国民のレジ袋活用の実態を見ようとせず、ワンウェイと決めつけて規制をした。
その結果、レジ袋有料化によって、スーパーなどで取っ手付きのポリ袋の販売が伸びている。レジ袋の代わりに使うためで、余計な家計負担となっている。
2月22日に放映された日本テレビ系の報道番組には、ポリ袋メーカー「日本サニパック」(東京都渋谷区)の井上充治社長が出演。同番組で「前年比で2〜3倍と売り上げが伸びている」と語った。しかし、同社に問い合わせると「市販のポリ袋は売れていても、レジ袋の売り上げは減っていて、相殺されている」という。会社として好調に推移して喜んでいるわけではない。
一方、小売り側にしてみれば、レジ袋を提供していた分だけ経費削減になるので、喜んでいるのかと思ったら、必ずしもそうとも言えない。エコバッグを使った万引きが増えたからだ。
東京・多摩地区を基盤とするスーパー「いなげや」では、「1階に集中レジを設置していると、2階の様子が見えにくくなる。そこで、2階の棚を低くする万引き防止対策を行った」という。見渡しを良くするため、商品の陳列数を犠牲にしてでも、棚を低くする施策に踏み切った。
また、大阪・西成区のスーパー「越前屋」では「エコバッグを折りたたんで入店していただくルールを徹底するため、お店で呼びかけを続けたので、エコバッグによる万引きはなくなった」と、難題を克服した。しかし、コロナ禍で貧困に陥る人が増えたので、従来型のポケットに入れる万引きが増えた。まさに、一難去ってまた一難の様相だ。
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