外国人にも人気の「缶コーヒー」が、なぜ2017年から低迷しているのか:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
缶コーヒーの売り上げが低迷している。「カフェが増えたから」「コンビニコーヒーが伸びているから」といった理由を想像したかもしれないが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。どういうことかというと……。
「新しい時代の缶コーヒー」を期待
長く低迷していた魚缶がサバ缶ブームや「缶つま」の人気で持ち直したように、缶コーヒーも何かのきっかけで魅力が再確認される可能性もある。
例えば、缶コーヒーはどれほど味が良くても、いまだに「サラリーマンの定番商品」「おじさんの飲み物で女子は飲まない」というイメージが根強く残っているので、それを破壊するため、800円くらいの超高級缶コーヒーつくってみてもいい。少し前、スペシャルティコーヒーを扱うブルーボトルコーヒーが640円の缶コーヒーを自販機で売って話題になったが、品質に自信のある大手メーカーもやってみるのだ。
「そんな高いモノは売れないでしょ」という声もあるだろうが、カフェだってドトールのような安さをウリにした店から、800円くらいの高級コーヒーを出す店まで幅広い。「低価格・高品質」を求めるだけが消費者ではないし、「安くてうまい」というデフレ的マーケティングに固執していては、缶コーヒーのイメージは100年経っても変わらないのではないか。
人気アニメとのコラボも結構だが、そろそろ「タバコのお供ではない、新しい時代の缶コーヒー」を期待したい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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