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スパコン「富岳」にも利用、教育のDX化を支える学術ネットワークSINETとは? 国立情報学研究所の副所長に聞いた最速400Gbps!(2/4 ページ)

大学授業のオンライン化が滞りなく進んだ背景には、日本全国の大学の学術ネットワークを支える基盤、学術情報ネットワーク「SINET」の存在がある。SINETは国の研究組織「国立情報学研究所(NII)」が開発、運営するもので、900以上の大学・研究機関が加入している。同研究所の漆谷重雄副所長に、SINETの現状と課題を聞いた。

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スパコン「富岳」など最前線の研究で利用

 SINETは、大学のオンライン教育などだけでなく、多様な先端研究にも生かされている。例えばニュートリノやヒッグス粒子といった素粒子の高エネルギー研究、日本が誇る世界一のスーパーコンピューター「富岳」をはじめとする機器の共同利用、核融合研究や地震研究、津波予測など最前線の研究でもSINETのネットワークは利用されているのだ。

 どれも研究のために遠隔地から大容量の観測データを転送する必要がある分野という特徴がある。特に神戸市にある「富岳」においては、その前身「京」の時代から、その卓越した演算能力によって生まれたデータをSINETのフル活用により千葉県柏市にバックアップしていて、東京〜大阪間だけいち早く400Gbpsに回線が引き上げられた経緯があるのだ。

 宇宙分野の研究でもSINETなどによって支えられているところは大きい。最新の天文学では、1つの電波望遠鏡だけで観測するのではなく、複数の電波望遠鏡をネットワークで連携することによって、より高精細な観測をするケースが多くなってきた。

 例えば、国土地理院では、SINETの国際回線を介して世界の望遠鏡をつなぎ地球の地殻変動などを観測している。また、19年4月に世界を賑わせた人類初のブラックホールの撮影・解析も、世界的な望遠鏡の連携によって実現した。このように、あらゆる望遠鏡が高速ネットワークにつながれば、世界的な発見のスピードが速まるだろう。

 また、国内の宇宙分野でも、19年に小惑星「リュウグウ」に着陸して、サンプルを回収し20年に地球に帰還した探査機「はやぶさ2」の運用にもSINETが生かされている。


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