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リーガルテック導入、部門をまたぐ調整は? グローバル企業の法務に聞く事例「勝機はスモールスタートにあり」(5/5 ページ)

2019年10月の持株会社体制への移行や、昨今の新型コロナウイルスの流行は、スケールの大きなグローバル企業・日揮グループのビジネスにどのような影響をもたらしたのでしょうか。法務・コンプライアンス部門に所属する5人の担当者に、法務部門の働き方やテクノロジーの活用状況を聞きました。

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4.グローバル法務体制の強化へ向け、人材の相互派遣や研修を推進

──日揮グループの法務部門では、どのような人材を求めていますか。

飯田氏: われわれの会社ではさまざまなプロジェクトを扱っています。ですので、法務部門の一員としてのスペシャリティが必要である一方、ビジネス面を理解したうえでの柔軟な業務遂行も求められます。ぶれない思考軸を持ちつつも、バランス感覚を備えた人材が魅力的だなと思いますね。また当社では、法務が契約交渉の前線に立つことも多いので、粘り強く構えて対応できる能力も重視しています。

 そのため、法学部出身以外の人材も多く採用しています。また、本人の志向を考慮したうえで、法務部門内でのローテーションのほか、プロジェクト部門などへのローテーション配属や他部署からの人材受け入れなども積極的に行っています。

中島氏: 私はもともと契約担当でしたが、現在はコンプライアンスチームに所属しており、業務内容が大きく変化しています。契約業務では1つの契約に関連するリスクを考えていましたが、コンプライアンスチームでは会社やプロジェクト全体を見てリスクを検討するため、視野が広がったように感じます。

加瀬氏:私も海外の現地担当となったことで、本社にいたころと業務に取り組むうえでの考え方が変わりました。本社にいた際はなるべく多くのリスクを洗い出し、自社をプロテクトすることを考えていましたが、現地での遂行フェーズでは、すでにある契約に基づき、与えられた条件のなかで顕在化したリスクに対処します。

 今後本社の契約業務でも、駐在で得られた経験、特に想定できるリスクの幅が広がったことや、リスクが発現する蓋然性をより現実的に評価ができるようになったことが生かせるのではないかと思っています。

──最後に、グローバル法務体制の整備と強化の展望をお聞かせください。

飯田氏: 事業環境が変化するなか、これまで中心だった海外における建設に関わるリスクだけでなく、さまざまなリスクを会社としてうまくマネージしたうえ、ビジネスにつなげていかなければなりません。そのためには国内・海外を問わず、法務としては専門的な知識を持ちつつ、他のことにも広く関心と知見を持つメンバーを育てていく必要があります。

 一方で、グローバルで事業を拡大していくという観点は、今までと共通だと思います。基本方針は本社側で整え周知したうえで、各国、会社、プロジェクトに応じて柔軟に運用できるグローバル法務体制を構築していきたいと考えています。人材の相互派遣や研修などはすでに行っていますので、今後はさらにこの範囲を拡げていきたいですね。

(文:周藤瞳美、取材・編集:BUSINESS LAWYERS 編集部)

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