ホリエモンが書店ビジネスで勝てた理由 ブルーオーシャン戦略を考え抜き、価値を「再定義」せよ:堀江流・経営者に必要な『やりきる力』(2/4 ページ)
ホリエモンこと堀江貴文氏が考える「経営者に必要な能力」について語ってもらった。
未経験者が過当競争に飛び込む必要はない
メルマガへの相談で特に目につくのが、あえてレッドオーシャン戦略を採る人たち。つまり血で血を洗う海戦場に飛び込もうとするパターンだ。例えば、「たこ焼き屋さんを始めようと思っています。場所は大阪の道頓堀周辺。差別化、集客化するために必要なことを教えてください」という相談がある。
うーん、と考えてしまう。やるからには、たこ焼きの本場で挑戦したいと思っているのだろう。あるいは、いつもにぎわっている道頓堀の周辺だったら、集客の手間が減らせるのかもしれないと予測しているのだろうか。
チャレンジ精神とリスクヘッジを、微妙に間違えているなぁ……という気がする。たこ焼きの激戦区にわざわざ乗り込んで、新しくたこ焼き屋をやるよりも、競争相手の少ない、ゆるい地方都市でやったほうがうまくいくに決まっている。
店舗経営の経験はなく「味に自信あり!」ぐらいの勝算で激戦区に乗り込んでも、成功率ゼロとまでは言わないけれど、厳しい戦いを強いられることは間違いない。
そもそも、大阪でたこ焼き屋をやろうなんて、レッドオーシャンも甚だしいチャレンジだ。無謀さという意味では、ゴールドラッシュの時代に、スコップを背負って砂金の出る山に向かった一攫千金(いっかくせんきん)狙いの採掘師たちと大差ないだろう。
それはそれで楽しいかもしれないので、やることは止めない。レッドオーシャンでも、工夫次第で勝つことは不可能ではないだろう。都内のラーメン激戦区に乗り込んで、新たなラーメン屋で人気を集めた起業家は少なくない。
こうして、やり方次第で成果を上げることは可能だが、未経験者がわざわざ過当競争に飛び込む必要はないだろうと思う。それよりも、いまの時代は、現状を客観的に把握して、いまだ手つかずの、競合が存在しない場所を探す人のほうが成功する。海戦場から遠く離れて、澄みきった海のようなブルーオーシャン戦略を採ったほうが、勝算の高いビジネスを展開できるのだ。
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