2015年7月27日以前の記事
検索
インタビュー

1983年出版の本が、2020年に6万5000部も売れた理由 猪瀬直樹が「ベストセラーを生み出す情報整理術」を語るスマホとクラウドで一元化(3/4 ページ)

40年近く経過して新装版として再び書店に並んだ猪瀬直樹著の『昭和16年夏の敗戦』が、2020年に年間で6万部以上売れた。その秘密に迫る。そこには猪瀬氏の「公」の思想と、「流行に左右されない」情報収集術があった。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

20万円の国史大辞典より、「スマホ」を頼る時代に

 徹底した文献主義の猪瀬氏だが、近年はスマートフォンの検索を使うことも増えてきたという。

 「国史大辞典という分厚い辞典が15巻あって、20万円くらいで買ったのです。最初は本棚を行ったり来たりしながら使っていたんだけど、例えば歴史解釈が変わったり、新発見があったりすると、(国史大辞典は)20年前の時点の史実で止まっている。それに対してスマホはつねにアップデートされている」

 5月に同氏と対談した経営コンサルタントで、『メモの変態が手帳をスマホに変えた理由』(小学館集英社プロダクション)を上梓した堀越吉太郎氏も、スマホを用いた情報整理術のエキスパートだ。

phot
経営コンサルタントの堀越吉太郎氏。「選書する書店フォルケ」店長も務める

 堀越氏いわく、過去に読んだ紙の書籍をEvernote(エバーノート)というアプリに読ませておくと、AIが本の文字を読み取り、後から検索したいときに、本の中まで検索できると語る。

 「私もずっと情報収集のためにメモをとってきましたが、ここ3年くらいでスマホとクラウドのものすごい進歩があって、情報整理の方法が大きく変わってきたんです」

 さらに、スマホの一番の特長は、「情報を『一元化』できること」だという。しかも、スマホならデジタルデータ化されているため、タイトル名などで検索すれば、欲しい情報に瞬時にアクセスできると、メリットを語る。

 猪瀬氏は、この検索機能の進化について、1971年に作られた専門図書館「大宅壮一文庫」を見た時に感じたという。

 「大宅壮一文庫っていうのは、カード検索によって辞書とは違う事項で検索できる、(今でいう)まさにGoogleそのもの。大宅壮一さんはそれを1960年に発明している。もしそこで当時のソニーや東芝が大宅さんが作った検索のシステムと結合すれば、日本からGoogleが生まれていたのじゃないかな」

phot
1971年に作られた専門図書館「大宅壮一文庫

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る