続発する就活セクハラが、企業の命脈を断つかもしれない件:本当に大丈夫か(1/3 ページ)
現在、就活中学生の結果がかなり出そろってきました。しかし、ここにきて立て続けに大企業での就活セクハラ事件が続発しています。あり得ないことが続発する背景を、企業は認識しているでしょうか?
著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた):
株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。
就活セクハラは、就活する学生に対し、応募先の企業の社員が働くセクハラ行為です。採用社社員が性的関係を迫ったり、性的いやがらせ・不快言動をする行為です。本来採用企業と学生は対等であるはずですが、現実的には採用される学生は圧倒的に弱い立場です。
コロナで景気先行きが不透明となり、不安な学生心理を突いてセクハラ行為に及ぶという卑劣な事件が、今年6月に近鉄グループホールディングズ、そして日本製鉄という、日本有数の有名大企業において発生したと報道されています。
厚生労働省が2020年10月実施した調査では、就活・インターンシップ経験男女学生1千人が対象となり、セクハラ被害の経験があると答えたのは25.5%とのこと。本人申告ベースであり、犯罪かどうかまでの精査はないものの、25%という数字は相当に高いという印象です。
就活セクハラへのホンネ
就活だけでなく会社におけるセクハラ行為ですが、そんなものは昔からあったという発言も聞こえてきます。ハラスメント対応は私の専門領域で、全国の大企業や官公庁、中小サービス飲食企業など、さまざまな職場でハラスメント防止研修を行っています。そんな研修中のディスカッションで、そうした本音がチラホラ聞こえるのです。
研修内のディスカッションで本音で話してもらえるのは、むしろ研修としては大歓迎です。それが本音だから認められるものなのか、そうでないのかを考える重要なきっかけになるからです。
セクハラと一口に言っても、不快言動と性的関係強要ではレベルが違い、後者に至ってはほぼ間違いなく犯罪レベルの悪質な行為です。今年6月に明るみに出たセクハラ事件のように、就活する学生相手に性的関係を強要するのは、きわめて悪質な刑法犯罪です。
ホンネがどうでも、もはや絶対的にセクハラは認められない時代になっています。このことを社員も経営者も、どこまで真剣に理解しているのか、就活と社員ハラスメント対応両方の現場を知る専門家として、非常に疑問を感じています。
関連記事
- 身長155センチ以下! 小柄女性向けのブランドが、「月商1億円」になった秘密
小柄女性向けのブランド「COHINA」をご存じだろうか。2018年に創業し、その後、順調に売り上げを伸ばしているのだ。その要因として、何があるのか。毎日続けていることがあって……。 - 「安いニッポン」の本当の恐ろしさとは何か 「貧しくなること」ではない
新聞やテレビなどで「安いニッポン」に関するニュースが増えてきた。「このままでは日本は貧しくなる」といった指摘があるが、本当にそうなのか。筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしていて……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 10年で116万台減少! 「世界一の自販機大国ニッポン」はなぜ衰退したのか
「日本は世界一の自販機大国」という話を聞いたことがあるが、本当にそうなのか。一人当たりの台数は世界一だが、機能面でいえば世界の潮流から遅れているようで……。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.