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おじいちゃんIT人材が爆誕!? AI分野で、どんな業務を任せているのかシニアの長所を生かす(1/3 ページ)

定年の65歳延長を控え、企業がシニアをどう活用していくかが課題となっている。高齢者には縁遠いイメージのあるAI分野の業務にシルバー人材を活用するライトカフェ(東京都渋谷区)に、雇用の背景や円滑に業務を進めるための工夫を聞いた。

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ライトカフェ代表取締役の榊原喜成氏。取材はオンラインで実施した

 定年の65歳延長を2025年に控え、企業がシニア層をどう活用していくべきか――が大きな課題となっている。そんな中、高齢者には縁遠いイメージのあるAIに関する業務で地方のシルバー人材を活用するのが、アプリケーション開発やシステム構築、保守・運用などを幅広く手がけるライトカフェ(東京都渋谷区)だ。

 シルバー人材に着目した理由や円滑に業務を進めるための工夫、今後どのような展開が期待できるのかについて、代表取締役の榊原喜成氏に話を聞いた。

エース社員の転居を機に、八戸にサテライトオフィスを設置

 同社のシルバー人材活用の拠点となっているのが、青森県八戸市のサテライトオフィスだ。現在は新型コロナ対策のため原則として在宅勤務を実施しているが、当初はここにスタッフが集まり業務に取り組んでいた。

 このサテライトオフィスは、社員の一人が地元である八戸に帰郷することになったのを機に、19年に開設したという。社員個人の転居に合わせて拠点を設置するのは思い切った決断のように思えるが、「社内でも重要度の高い業務を担当する優秀な社員なので、柔軟に対応したかった」と榊原氏は話す。

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八戸のサテライトオフィスは19年に開設(出所:リリースより)

 もともと同社は、沖縄、福岡など各地にグループ会社を持っていて、「地方」における人材育成には長く注力してきた。

 「10年ほど前から、地方のグループ会社で地域のエンジニア人材の採用に力を入れています。人材不足が深刻な東京に比べて募集に対する反応も良く、ポテンシャルの高い方も多いため、経験が浅くても手厚く教育を行うことで一人前のエンジニアとして活躍できるようになります」(榊原氏)

 東京だけでは確保できない、エンジニア採用を地方で実施することは理解できる。しかし、そもそもなぜ、シルバー人材に注目したのだろうか? 榊原氏は「シルバー人材の活用はエンジニア育成を目的としたものではない」と前置きをしつつ、経緯を次のように説明する。

 「これまでは地方で若手エンジニア育成を行ってきましたが、日本の少子高齢化が叫ばれる中、若手だけでなく地方のシルバー人材が活躍できる場も作りたいという思いがありました。

 シルバー人材の方にお願いしている業務は、もともと海外委託していたものです。しかし、やはり日本語を使う仕事は日本の方に担当していただくほうがより正確な作業が期待できます。国内で業務を完結させ、より良い結果を目指すことも狙いの一つです。

 現在、八戸のサテライトオフィスでは60〜70代の方、合計12人に働いてもらっていますが、“この世代ならではの長所を生かせる業務”がある――そのことを、今あらためて実感しています」

 では、具体的にどのようにシルバー人材を集め、どのような業務を任せているのだろうか?

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