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スキャナ保存・電子取引の要件が緩和 「電子帳簿保存制度」の見直しポイント21年度税制改正(4/5 ページ)

2021年度の税制改正で、電子帳簿保存法の要件が緩和され、事前承認制度や適正事務処理要件の廃止などが行われました。そこで、この改正について解説します。

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「電子取引データ」に係る法令要件の見直し

【1】電子取引データの書面出力保存不可

 所得税法および法人税法の保存義務者について、2021年度改正後は、災害等やむを得ない事情がある場合を除き、電子取引データの書面出力保存は認められなくなりました。一方で、消費税法上は、その保存の有無が税額計算に直接影響を及ぼすため、改正後も引き続き書面に出力して保存することを認めています。

 この点について、根拠法令により取り扱いが異なっており、消費税の課税事業者からみると戸惑うところですが、電子取引データを要件に従って保存せず書面出力したもののみを保存した場合には、所得税法および法人税法上の保存義務違反となり青色申告承認取消の対象となり得るため、電子取引データの要件を満たしたうえでデータで保存することを検討する必要があります。

【2】タイムスタンプの付与期限の緩和

 電子取引データの授受後にタイムスタンプを付与する場合の期限が緩和され、データの授受後「業務サイクル後速やかに(最長で約2カ月とおおむね7営業日以内)」タイムスタンプを付与することとされました。

【3】検索要件の緩和

 検索項目が、「取引年月日」「取引金額」「取引先名称」に限定され、税務調査等においてダウンロードデータを提供等できる場合には「日付・金額の範囲指定検索」「複数項目の組合せ検索」が不要となりました。

 なお、基準期間(前々年)の売上が1000万円以下の小規模事業者が税務調査等においてダウンロードデータを提供等できる場合には、全ての検索要件が不要となります。

【4】適用開始時期

 改正後の電子取引データの法令要件については、2022年1月1日以降授受する電子取引データから適用されます。

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