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いまさらスマホ進出? 自動車メーカー「吉利」の意図浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/4 ページ)

中国最大の民営自動車メーカー・吉利がスマートフォン製造に参入した。自動車に足を踏み入れたスマートフォンメーカーにはシャオミ、ファーウェイ、未発表ながらアップルがあるが、その逆パターンは例がない。10月に入ってからは子会社ボルボのIPOも発表。多方面に布石を打ちながら、吉利は何を目指すのか。

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ハイエンドスマートフォンを製造と表明

 吉利は9月28日、創業者の李書福氏が武漢市にスマートフォン製造メーカー「湖北星紀時代科技」を設立し、武漢経済技術開発区と戦略的提携を締結したと発表した。資本金は8000万元(約14億円)で、李氏が株式の55%を保有する。

 李氏は提携契約式典で、ハイエンド端末を手掛けると表明。「業界をまたいでユーザーのエコシステムをつくる、企業の周りに堀を作ってユーザーを囲い込むのがトレンドになっている。スマートフォンとコネクテッドカー、衛星インターネットを連結することで、ユーザーに便利なスマートライフを提供できる」と述べた。

 実は吉利のスマートフォン参入について、SNSでは「今さらスマートフォンとは」「自殺プロジェクトだ」と否定的な声が殺到した。

 iPhoneが登場したのは2007年。最初の数年は台湾、欧州、日本の名だたるメーカーが参入してシェアを競っていたが、近年はグローバルでアップル、サムスン、中国の“華米OV(ファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivo)”が市場を寡占し、中国ではアップルと華米OVの5社で8〜9割のシェアを握っている。実際、エアコンメーカーの格力電器など、異業種参入した大手企業はことごとく惨敗している。


中国のスマートフォンマーケットはアップルと“華米OV”が市場の大半を握っている(出典:Counterpoint、China Smartphone Market Share

 また、李氏は「ハイエンドスマートフォン」を生産すると表明したが、既存の中国スマートフォンブランドも同セグメントでは苦戦しており、総合力でアップルに対抗できているのはファーウェイだけだ。

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