なぜ、住宅メーカーの“動く”ログハウスに注文が殺到するのか 盛り上がるキャンピングカー市場最前線:提供する価値とは(4/4 ページ)
住宅メーカーの開発した“動く”ログハウスに注文が殺到している。コロナ禍でキャンプやアウトドアの需要が高まったことが背景にある。どのような点が注目されているのか。
異業種だからこそ作れた車の価値
著作家の山口周さんにお会いした際に、「これからの社会では、役に立つことより意味があることのほうが価値がある」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。また、「自動車業界が提供する価値の市場」として、「役に立つ/立たない」「意味がある/ない」という4象限で自動車の価値を表現されていました。そのフレームワークに落としこむと、キャンピングカーや可動式IMAGOという商品は、次のように位置付けられると考えます。
先の可動式IMAGOはけん引免許が必要であり、定期的に車検を通さなければなりません。自分で色を塗ったり、定期的なメンテナンスも必要です。手間がかかる、面倒な車です。
しかし、この商品を欲しい人が殺到している状況を見ると、役に立つだけでなく、その車に「意味」を感じている人が多くいることが分かります。意味を感じるとそこに希少性が生まれ、新しい商品として認知されやすくなります。それが成熟した市場の中で勝ち残るためのポイントとなります。
これは住宅メーカーのアールシーコアのような会社だからこそ作りだせた価値といえるかもしれません。
役に立つより、意味のある商品を作る。
成熟市場で商品を売るためのヒントがここにあります。
著者プロフィール
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。
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