社員に月額で最大1.5万円の「Twitter手当」、支給の狙いは? 人材会社のジェイックに聞く(2/2 ページ)
就職支援事業を手掛ける人材会社のジェイックが、社員に「Twitter手当」の支給を始めた。その狙いを人事部長に聞いた。
Twitter活用、社員の発信力強化の狙いも
近年、所属元を明らかにした上で、実名でTwitterを活用するケースが増加しているが、そうした活動に企業が手当を支給する取り組みは珍しい。ジェイックの場合は、どのような経緯で手当の支給に至ったのだろうか。
きっかけは、会社の認知度向上の一環として2020年4月に、社内で立ち上がった「Twitterプロジェクト」だ。会社としてTwitterの活用を推奨することで、個人の発信力を高めるという、社員教育の側面もあった。当時はまだ、手当の支給までには至っていなかった。
“炎上リスク”に懸念の声 手探りで運用ルール作成
会社として社員に積極的な活用を推奨する一方で、開始当初は、不適切投稿による“炎上リスク”への懸念の声も出ていた。そこで、マーケティングメンバーを中心に社内で選抜した一部の社員で取り組みを開始。手探りで独自のマニュアルも作成し、社内で簡単なレクチャーも行った。
マニュアルでは、投稿目的の明確化、他社・他者を攻撃しない、ウェビナーの告知ツイートなど業務に関係するツイートは社員間でリツイートに協力するーーなど最低限のことを明記。逆に、投稿内容や投稿時間の制約は設けなかった。プライベートな内容の投稿も認めることで、会社のPRとともに、社員の人柄を見せる狙いもあったためだ。
例えば、20年4月に初めてTwitterアカウントを作ったという轡部長は、仕事関連の真面目な投稿の他に、飲食店での食事の投稿も織り交ぜている。ただ、企業名を明らかにしたアカウントのため、反響が大きいのはビジネスに絡んだツイート。人事歴9年を振り返り、同社の拠点数を2から11に増やし、苦しい業績の中で採用した社員が入社後、そのうち1拠点の支店長になったというエピソードが、反響の大きかった投稿の代表例だという。
「文字数制限の140字フルで使い、若手社員時代の苦労話など、個人の人柄が分かるエピソードを投稿すると反響が大きいように感じる」(轡部長)
轡部長を始め、各社員がTwitterの活用を本格化させた結果、プロジェクト開始前に約1万6000だったフォロワー数は、同社と同社が手掛ける各サービスの公式アカウントも含め、約1年半で8万にまで増加した。会社公認でTwitterアカウントを使う社員も、当初のマーケティングメンバー中心から、営業部など他部署にまで広がった。
フォロワー数が増え、数字上でもプロジェクトの成果が現れた一方、途中で投稿を止めた社員も一部いた。改善のため、社内で検討を重ねた結果、業務時間外も運用していることなども考慮し「自分の成果に跳ね返ってくると、やる気になるのではないか」という若手社員の提案で、11月の給与分からTwitter手当の新設が決まった。
手当を初支給、課題も
初めてのTwitter手当の支給を終えて、課題も浮き彫りになった。同社には、社内でTwitterアカウントの運用許可を得た社員が20人いるが、実際に支給されたのは轡部長を含め、わずか3人にとどまった。支給基準がやや高すぎたのだ。社員のモチベーション維持のため、支給対象者を増やしつつ、達成感も味わえるよう支給基準の見直しも必要になりそうだ。
今後は、Twitterだけでなく、InstagramやTikTokなど他のSNSも対象とし「SNS手当」(仮称)として、制度をリニューアルすることも検討しているという。
轡部長は「社名を掲げて運用しているが、Twitterは個人のブランディングにもつながる。皆さん、積極的に活用したほうがいいのではないか」と話す。支給された、Twitter手当の1万5000円の使い道については「昨年4月にTwitterを始めてから、人事関係の人を中心に人脈が広がった。Twitterで出会った人との食事代に使いたい」と笑顔を見せた。
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