タピオカバブルが崩壊したのに、「ゴンチャ」の店舗は倍増 目指すは“お茶のスタバ”か?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
タピオカバブルが崩壊した。コロナ禍でストリートフードが敬遠され、タピオカ店の閉店も相次いでいる。大手の「ゴンチャ」は、こんな状況でも店舗数を増やしている。
なぜ出店ラッシュが可能なのか
ゴンチャの変貌を如実に感じさせる店が、昨年6月にオープンしたグランデュオ立川店(東京都立川市)だ。この店は、JR立川駅南口にある駅直結の商業施設「グランデュオ立川」3階に位置し、約70坪もの広い面積を有して、90席が設けられている(ソーシャルディスタンスを確保するため、実際の席数は減らされている)。
立川駅は、JR東日本の多摩地区にある駅では利用客が最も多く、20年度実績で1日平均約12万人が乗車する。これは、JR東日本で13番目の規模となる。相当大きな駅であり、中央線、青梅線、南武線が乗り入れ、多摩都市モノレールとの乗換駅でもある。
広域から集客できるターミナル駅だ。そのため、北口にルミネ立川、南口にグランデュオ立川、エキナカにエキュート立川と、駅と一体化した商業施設が3つもあり、周辺部の百貨店なども合わせると巨大な商業集積になっている。
立川には16年、ルミネ立川の1階に日本4号店となる、ゴンチャの店がオープンしているが、こちらはテークアウトのみの店。バスターミナルに面した出入口に近く、商業施設に入っている路面のスタンドといった趣だったので、グランデュオ立川店は同じゴンチャでも、全く異なったスタンスの店だ。
19年11月、世界17カ国に1100店舗以上(当時)を展開するゴンチャグループは、米国のプライベート・エクイティ投資会社のTAアソシエーツに買収された。ゴンチャ ジャパン(東京都渋谷区)にも、戦略的な資本投下が始まっていた。グランデュオ立川店は、新たなゴンチャのイメージを構築する実験店の1つだ。
コロナ禍でのゴンチャの出店ラッシュは、TAの豊富な資金が背景にあり、売り上げ減で撤退したテナントの跡を埋めている。
TAは、1968年の創業以来、325億ドルの資本を調達した経験豊富な投資会社。ゴンチャグループが2016〜19年に年平均で、売上高を43%、EBITDA(税引前利益に特別損失、支払利息、原価償却を加えた値)を70%成長させた実績を、TAは高く評価。世界のティー市場は成長性が高く、コーヒー市場を将来的に上回ると期待している。
TAはグローバルのゴンチャ会長に、マクドナルドのアジア太平洋と中東への拡大を主導したピーター・ロッドウェル氏を起用。合わせて、日本マクドナルド元会長・社長の原田泳幸氏を、ゴンチャ ジャパンの会長・社長・CEOに起用した。マクドナルドOBで経営陣を固めて、「夢よもう一度」というわけだった。
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