CMに登場したタレントが話題になったのに、大手企業の幹部が“がっかり”した理由:あるべき広告戦略とは(4/4 ページ)
売り込み色の強い広告や、派手さで取り繕った広告は消費者に見透かされる。筆者は、広告戦略において“本質”が求められるようになったと指摘する。具体例とともに今後の目指す姿を考える。
これからの広告に必要なのは?
これからの広告に必要な要素を両社の共通点から以下のようにまとめたいと思います。
(1)戦略思考:自社のブランド戦略、マーケティング戦略との関連性を重視
(2)意義・目的思考:企業、事業、商品が備えている意義とは何かに焦点を当てる
(3)リアリティー:脚色された派手さではなく身近に感じられる事実
(4)サプライズ:通常想像されやすい表現ではなく、意外性のあるモチーフや言葉によるデザイン転換
(5)確固たる意志:周囲の保守的意見や新しいクリエイティブに対する不安視を払拭できる情熱
新型コロナウイルスによりシュリンクする産業も多く、集客難に陥っているため、とにかく情報を多く発信することに意識が向きがちです。
しかし、“何に”情報を載せるかの前に、“何を”情報に載せるか、ここに企業の真価が問われる時代であることを忘れてはいけません。
競合企業の動向に右往左往せず、自社のスタンスを貫いていくことが大きな推進力を生み出します。
混沌とした時代であるからこそ、普遍的な要素と向き合い直すことを推奨いたします。
最後までお読み頂きありがとうございました。
著者プロフィール
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
株式会社インサイト CMO 執行役員
著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。21年より総合広告会社インサイトのCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。
19年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。
日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回。
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