丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
ハッピーになれる「落とし所」
丸亀製麺における「讃岐うどん」も、これと全く同じことが言えるのではないか。
うそだと思うのなら、どこかの店舗でこっそりと看板から「讃岐」の文字を消して、店内で讃岐うどんイメージ訴求のために掲げている「讃岐富士」の写真パネルも外してみたらどうか。おそらく、客足も売り上げもそれほど影響はない。
「讃岐うどん」を名乗ることをやめれば、「讃岐うどんに対するリスペクトが全く感じられない」と批判してきた、讃岐うどん関係者や愛好家も怒りの矛先を収めることができるはずだ。
この問題の本質は、その地域にしかない職人文化や独自の技術を、他県企業がマーケティングやブランディングに活用して、しかも本家を差し置いて第一人者としての社会的評価を確立するということなので、そこを「手放す」ことが最善の道なのだ。
「讃岐釜揚げうどん 丸亀製麺」ではなく、「香川風釜揚げうどん 丸亀製麺」くらいならば、誰も文句は言わない。それこそ「札幌ラーメン」や「信州そば」と同じようなレベルだと容認できるのではないか。
みんながハッピーになれる「落とし所」だと思うので、ぜひともトリドールHDに検討していただきたい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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