ブーム終焉……タピオカの“空き店舗”は今、どうなっているのか:廣瀬涼「エンタメビジネス研究所」(4/4 ページ)
2019年にピークを迎えたタピオカブーム。しかし20年以降は落ち着き、他の流行と同じ道をたどっている。なぜ、タピオカブームは終焉を迎えたのだろうか。そしてタピオカ店は今、どうなっているのか。
中でもゴンチャは19年12月に元・日本マクドナルドホールディングスCEOの原田泳幸氏を、代表取締役会長(兼社長兼CEO)に迎えた。20年7月の成長戦略発表会では、数年以内に国内400店体制を目指すとも発表している。
原田氏自身は21年2月にトップを辞任してはいるものの、22年3月現在116店舗展開しており、20年3月当時60店舗から、コロナ禍で店舗をほぼ倍増させた。
店舗数を増やす際、昨今では商業施設や駅直結の商業施設、郊外型ショッピングモールを選んでいることも特徴的である。タピオカといえば現代若者文化の代名詞として、若者ではない人々が若者文化を探る上でのキーワードになりつつあった。しかしゴンチャはタピオカ=若者文化のイメージを払拭するかのように、人々の生活圏に出店しているわけである。
タピオカそのもののネームバリューは意地悪な言い方をすれば雑に消耗されてしまったわけだが、ゴンチャのブランドバリューの陳腐的な消耗(消費)を防ぐことで、消費者がタピオカ=流行遅れ=ゴンチャというイメージを創造しにくくなるわけだ。
筆者は、パンケーキ専門店が群雄割拠の時代から淘汰の時代になっていったように、タピオカも今まさに流行から定着のフェーズへと変化していると考えている。スーパーの片隅にナタデココが置いてあるように、カフェのメニューにティラミスがあるように……。
(参考文献)長浜淳之介, ITmedia ビジネスオンライン「タピオカバブルが崩壊したのに、『ゴンチャ』の店舗は倍増 目指すは“お茶のスタバ”か?」(2021年12月25日)
(※)本記事には一部、ニッセイ基礎研究所のレポート「第3次タピオカブームを振り返る」(2020年11月16日)の内容を再構成、加筆した箇所があります。
著者紹介:廣瀬涼
1989年生まれ、静岡県出身。2019年、大学院博士課程在学中にニッセイ基礎研究所に研究員として入社。専門は現代消費文化論。「オタクの消費」を主なテーマとし、10年以上、彼らの消費欲求の源泉を研究。若者(Z世代)の消費文化についても講演や各種メディアで発表を行っている。テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」、TBS「マツコの知らない世界」、TBS「新・情報7daysニュースキャスター」などで製作協力。本人は生粋のディズニーオタク。瀬の「頁」は正しくは「刀に貝」。
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