2015年7月27日以前の記事
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不妊治療助成に学生出産奨励……、政治家の「産めよ増やせよ」が「女に死ねというのか」と炎上浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(5/5 ページ)

一人っ子政策を廃止して「3人目容認」に舵を切り、不妊治療の助成や育児休業拡充を次々に導入した中国。国会に相当する全国人民代表大会では、政治家が出生率向上に向けさまざまな提言を行ったが、女性の立場や社会の実情を無視した的外れなものも少なくなく、ネットではブーイングの嵐だった。

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日本と同じ道たどるのか

 日本ではバブル崩壊後の長い不況で「正社員の夫、専業主婦の妻、子ども2人」という「標準モデル」が崩壊する中、政治家が古い価値観のまま女性に出産へのプレッシャーをかけ続けた。

 03年、自民党少子化問題調査会長だった森喜朗元首相は「子どもを一人もつくらない女性が(中略)自由を謳歌し楽しんで年取って、税金で面倒見なさいっていうのは本当はおかしいんですよ」と発言し、07年には当時の厚労相が「女性は産む機械」と述べ、共に大バッシングを浴びた。

 公害、高齢化など中国の社会課題の多くは日本が20〜30年前に経験したものだ。今の中国の少子化対策を巡る政策も政治家の発言も、筆者には既視感が強い。

 そして「産みたくても(経済不安などで)産めない」若者が多い日本と違い、「自分の時間がなくなるから子どもはいらない」と考える若者を説得しなければならない中国の少子化対策は、より骨が折れそうだ。

筆者:浦上 早苗

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37

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