無視できなくなった「ESG投資」 AIで「有望な企業」の見極めが加速?:金融の新しいトレンド(1/4 ページ)
テクノロジーの活用による進化が進む金融業界。そこに今、新たな可能性が生まれようとしている。それはAI(人工知能)を活用し、より社会にとって価値のある企業に投資を行おうというものだ。キーワードとなるのが「ESG投資」である。
フィンテックや金融API、そしてエンベデッド・ファイナンスなど、テクノロジーの活用による進化が進む金融業界。そこに今、新たな可能性が生まれようとしている。それはAI(人工知能)を活用し、より社会にとって価値のある企業に投資を行おうというものだ。キーワードとなるのが「ESG投資」である。
企業が無視できなくなった「ESG投資」
まず「ESG投資とは何か」という解説から始めよう。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance、企業統治)の頭文字を取ったものだ。企業がこれらの価値に対して、どの程度取り組んでいるかを評価しようという概念である。
企業はもちろん、利益を追求するための組織だ。株式会社であれば、利益を株主に還元する。従って、これまでは「どのくらいもうかっているか」が、企業を評価するものさしだった。しかし企業が利益ばかり追い求めていると、さまざまな弊害が出てしまう、というのが現代社会の認識だ。そこで、利益を越えて企業を評価するアプローチが追求されるようになっており、ESGもその一つというわけである。
ESGという言葉が初めて使われたのは、世界銀行グループ内の機関である国際金融公社(International Finance Corporation)が2005年に発表したレポート「Who Care Wins」(配慮する企業が勝利する)だといわれている。
このタイトルが示しているように、ESGは単に企業を取り締まろうというだけではなく、これらの価値に配慮した企業は業績の面でも優れた結果を出すだろう、という前提に基づいている。そこで従来の財務面からの評価に加え、ESGの面からも評価できる企業に投資し、金銭的価値と社会的価値の両方を達成しよう、というESG投資のアプローチが生まれている。
社会的価値と経済的価値を両立させる概念としては、他にも「SDGs」(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)があるが、それとESGはどのような関係にあるのだろうか。
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